マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の43回目は、中央区北2条西4丁目の「北海道ビルヂング」。(写真は、解体工事が始まった「北海道ビルヂング」)

 北海道のオフィスビルの草分けとされたのが、「北海道ビルヂング」。竣工は1962年12月。駅前通には、市電が走るなど札幌冬季五輪の10年前とあって、のどかな地方都市の風景が広がっていたことだろう。建設したのは三菱地所(本店・東京都千代田区)。同社は札幌の発展を見越していたのか、当時の東京・丸の内のオフィスビルと同等の設備を備えた大規模オフィスビルとして「北海道ビルヂング」を竣工させた。

 地下2階、地上9階建て、延べ床面積は7850・24坪(2万5591・21㎡)、ビル内部には噴水を設置、市民からは「道ビル」として親しまれてきた。2000年には外装を含めて全面リニューアル、赤レンガのタイルからアルミパネルに一新した。

 今年9月末に、北海道ビルヂングは閉館、60年間の役割を終えた。解体工事は10月3日から始まっている。既にフェンスが建物を覆い始めており、間もなく重機が建物の取り壊しを始める。工事期間は、2023年8月31日までと長期に及ぶ。解体工事を行っているのは、大林組(本社・東京都港区)。

 跡地にはホテルや商業施設、オフィスからなる複合ビルの建設が計画されている。地下は、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)と接続して利便性を確保する。竣工は2025年頃。北海道ビルヂングが、北海道のオフィスビル時代を運んできたように、新しいビルは北海道に何を運んでくれるだろうか。



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