マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の38回目は、白石区東札幌1条3丁目の旧「明治札幌工場」。(写真は、解体工事が始まった明治・旧札幌工場)
札幌市の白石区と豊平区の境界になっている東北通。その通り沿いにあるのが明治(本社・東京都中央区)の旧札幌工場。住宅街の一角にある市乳生産工場だったが、明治は、今から66年前の1956年にこの土地(約3844坪=1万2688・48㎡)を取得して工場を建設した。1961年当時の空中写真では、既に工場が旧千歳線近くに写っている。この辺りは当時、農地と住宅と工場が建っており、現在とは隔世の感がある。
その明治は、この札幌工場と旭川工場(旭川市)の生産を集約する目的で今年、恵庭工場(恵庭市)を新設して稼働を開始した。札幌工場は、それよりひと足早い2020年12月に稼働を停止していた。この歴史ある旧札幌工場の解体工事が始まったは、今年8月の後半から。注文者は、明治で解体工事は奥村組(本社・大阪市阿倍野区)札幌支店(札幌市中央区)が行っている。工事期間は、同年11月30日まで。
60年を越えて市乳生産を続けてきた、旧札幌工場の跡地はどうなるのか。明治は、「解体後に売却する予定です」(広報)と話す。工場があったため、札幌市の用途地域は工業地域になっている。周辺は、第一種住居地域や準住居地域になっており、解体後に用途地域の変更が行われる可能性もある。明治旧札幌工場跡地は、令和の時代にどう変貌するだろうか。