札幌を中心とした北海道の不動産を流動化して、まちづくり投資や新規事業投資を支援する地域特化の不動産投資法人「北海道リート投資法人」(以下、北海道リート)の設立に向けた動きが前進する。2022年6月末に資産運用会社「北海道アセットマネジメント」(仮称)が設立され、同社が金融庁に「北海道リート」の設立、運用開始の届け出を申請、登録を受けて2023年から事業をスタートさせる。「北海道リート」は全国初の協同出資型の地域特化リートで北海道の価値創出と資産流動化による経済活性化を目指す。(写真は、札幌中心部)
北海道に特化したリートの設立は、20年以上前から議論されてきた。何度か設立に向けた動きがあったものの具体化しなかった。今回は2030年度の北海道新幹線札幌延伸や札幌冬季五輪誘致に向けた不動産活用の機運の高まりによって、日の目を見るようになった。1年以上前から準備を進め、2020年10月18日に20社で「北海道リート設立協議会」が立ち上がり、検討協議を重ねて4月27日に開催した全体会合で20社による共同出資で「北海道リート」の業務運営の核となる資産運用会社「北海道アセットマネジメント」(仮称)の6月末設立が決まった。
出資するのは、アインホールディングス(本社・札幌市白石区)、石屋製菓(同・同市西区)、岩田地崎建設(同・同市中央区)、クリプトン・フューチャー・メディア(同・同)、ニトリホールディングス(同・札幌市北区)、野口観光(同・室蘭市)などで、協議会の20社が出資する。20社のうち19社は道内企業だが、1社はリートに知見のある三菱UFJ銀行(本店・東京都千代田区)。出資額は2000万円、1000万円、500万円の3パターンで資本金は2億4500万円を予定、札幌市中央区に拠点を置く。北海道アセットマネジメントが金融庁に投資法人「北海道リート」の設立と運用開始の届け出を行うが、概ね6ヵ月で登録が終わる予定のため、2022年12月末にも「北海道リート」が設立され、2023年1月から運用が始まる予定。
投資法人が組成するポートフォリオの資産は、スタート時に出資企業が保有する不動産で構築する方針。その後、出資企業以外のオフィスビルや商業ビル、レジデンス、医療施設、物流倉庫などを組み入れる。また、ビル建て替えや再開発など開発型案件のほか、一次産業の輸出入ストック拠点、再生可能エネルギー施設、データセンターなどIT関連施設などもポートフォリオに組み入れる考え。数年後には資産規模を約300億円にする。札幌以外の地方中核都市なども対象とする。