マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の16回目は、札幌市手稲区前田2条13丁目の「極楽湯さっぽろ手稲店」。(写真は、ほぼ解体された「極楽湯さっぽろ手稲店」)
JR手稲駅の北にある「手稲鉄北ショッピングセンター」。「JR生鮮市場」や「サツドラ」、「シャトレーゼ」、「コメダ珈琲店」とともにスーパー銭湯「極楽湯さっぽろ手稲店」があった。国鉄時代から続いた鉄北社宅跡地を利用して建設されたのが、このショッピングセンター。「鉄北」(てつほく、てっぽく)という呼び方は、札幌の函館本線の北を総称した通称のようだが、今ではあまり使われなくなっている。ただ、この「手稲鉄北ショッピングセンター」の近くには1965年開校の「札幌市立手稲鉄北小学校」があって、この呼び方がしっかりと根付いている。
「極楽湯さっぽろ手稲店」は、極楽湯(本社・東京都千代田区)のフランチャイズ・スーパー銭湯として2005年にJR北海道フレッシュキヨスク(同・札幌市中央区)の前身、北海道ジェイ・アール・フーズが開業した。以来、16年間にわたって市民に親しまれてきたが、今年7月31日に契約満了と施設老朽化で営業を終了した。
解体工事が始まったのは、営業終了から1ヵ月ほどの8月末から。和風の外観が印象的だった建物は、12月に入ってほぼ消えてしまい、雪化粧をした手稲の山々が遠く望めるようになった。建物の解体を行っているのは、JR北海道(本社・札幌市中央区)のグループ会社、札建工業(同・同市北区)。解体工事の完了は2022年1月末となっている。跡地利用は、マンション開発とみられている。「鉄北」の名は、どうなるだろう。