マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の12回目は、札幌市中央区南5条西6丁目の「ベルパーキング本店ビル」。(写真は、解体工事に入っている「ベルパーキング本店ビル」)
(写真は、ビル正面に象られた造形物)
24時間営業の時間貸し駐車場ビル「ベルパーキング本店」は、南5条通沿いにある細長いビルを利用した駐車場で、263台を収容できる。南5条通側のビル正面には、駐車場ビルには似つかわしくない造形がある。恐竜のような生物を象った上には王冠が描かれていて、往時のレジャービルの風情を醸し出している。
建物は、1993年頃に建てられたレジャービルだったようだ。仙台市に本社がある高松興産(青葉区)が建築主で、ビルはその後、地上げによる放火事件があったとされる。バブル崩壊後、土地建物には整理回収機構や札幌市などが差し押さえ、2002年に不動産賃貸業のハイホーム(本社・東京都港区)が競売で取得した。ベルトラスト(本社・札幌市中央区)が、「ベルパーキング本店」を開業したのは、2008年。ワンズレンタカー(同・千葉県習志野市)も「すすきのパーキング店」を構え、13年間営業してきた。
レジャービルから駐車場ビルなった建物は、その役割を終えて今年8月から解体工事に入っている。解体期間は11月30日まで。解体の注文者は双葉工建(札幌市白石区)、解体の事業者はシンヨウ(同市厚別区)。バブルの時代からすすきのの約30年の裏面を凝縮したようなビルが、間もなく消える。