マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の5回目は、札幌市中央区宮ケ丘3丁目のマンション「ルーブル富士神宮外苑」。(写真は、解体工事が始まった「ルーブル富士神宮外苑」)
北海道神宮や円山公園に近い札幌市中央区宮ケ丘地区は高級住宅街。その中で、神宮と目と鼻の先にあるのが、「ルーブル富士神宮外苑」。北1条・宮の沢通を西に向かって進むと緩やかな登り坂が左右にカーブしながら大きく方向を変えていく。このマンションは、右カーブが始まるあたりの道路沿いにある。1983年7月に竣工した鉄筋コンクリート造の3階建てで、2棟に分かれ戸数は18戸だった。
「ルーブル」というブランド名のマンションは今も市内に数棟残っている。建設したのは、地元の興隆富士商。その名前でピンと来る人は、今は少ないかもしれないが、北海道拓殖銀行破綻の元凶とも言われた企業の1社だった。拓銀首脳のスキャンダルを掴み、融資の便宜を受けて成長したとされる典型的なバブル企業だった。
バブル崩壊後に同社は破綻した。昨年になって新星住建(本社・大阪市北区)が大半の居室を買収、最後は京阪電鉄不動産(同・同市中央区)に所有権が移った。その頃には全戸が退去、建て替えに向けて歩み始めた。
解体工事は、札真重機工業(札幌市北区)が6月初めに着手、9月末には終了する。京阪電鉄不動産は、この土地でマンション建設を予定している。宮ケ丘地区では、住友不動産やNIPPOがマンション建設を計画、三井不動産レジデンシャルは既に着工している。宮ケ丘地区は新陳代謝の渦中にある。