全国的な人気番組『水曜どうでしょう』の聖地として知られるHTB(北海道テレビ放送)の旧本社ビルの解体が、間もなく始まる。旧本社ビルと一帯の敷地を取得した土屋ホールディングス(本社・札幌市北区)の子会社、土屋ホーム不動産(同・同)は、建物解体後に造成工事を進めて戸建て住宅の分譲用地として販売する。『水曜どうでしょう』のネーミングライツも検討したが断念、HTBのマスコットキャラクター『onちゃん』にちなんだタウン名称を冠する。(写真は、解体工事が始まったHTB旧本社)
HTBはHBC(北海道放送)、STV(札幌テレビ放送)に続く3番目の民放として1968年に誕生、平岸高台にあるテレビ局として長く親しまれてきたが、施設老朽化などもあって2018年の開局50周年を機にさっぽろ創世スクエア(中央区北1条西1丁目)に移転、それに伴って旧本社の売却を進めてきた。
旧本社ビルは、駐車場敷地の627・39坪(2074・00㎡)と本社ビル敷地の2408・30坪(7961・48㎡)の合計3035・69坪(10035・48㎡)。駐車場敷地は土屋ホーム不動産とマンションデベロッパーとのジョイントでマンションを建設、本社ビル敷地は戸建て用地にする。
解体が始まる旧本社ビルは、工事用シートで覆われ始めており、間もなく外観が見えなくなる。土屋ホーム不動産は、建物解体後に土地造成を行うが、土地形状を大掛かりに変更するため、札幌市に開発許可を申請する。建物解体から土ま地造成完了までに1年以上が必要とみており、2022年8月頃に分譲用地として整備が完了する見込み。ただ、既存の高い擁壁(コンクリートブロックや石などを使った壁上構造物)をそのまま利用するか、新たに擁壁を設置するかは未定としている。戸建て住宅用地は約50戸分になる。
土屋ホーム不動産は、戸建て住宅建設にあたり、『水曜どうでしょう』の聖地ということもあって、HTBと協議、一時は『水曜どうでしょう』を冠したタウン名を検討していた。最終的にはHTBとネーミングライツ契約を結んで、『onちゃん』の名を冠することで合意、『onちゃんタウン』などとする予定。
旧本社ビルを巡っては、『水曜どうでしょう』の博物館にしてはどうかと募金活動が沸き起こったり、社屋を使ったHTBの50周年開局ドラマ『チャンネルはそのまま!』が人気を博し続編を望む声が出たりするなど、通常のテレビ局では考えられないような聖地化が進んだ。旧本社とともに聖地として知られる、隣接の平岸高台公園には、今でも全国からファンが訪れている。土屋ホーム不動産では、こうしたことを考慮、『水曜どうでしょう』の聖地にふさわしい街の装いを体現していく考え。