昨年9月の開局50周年を節目に竣工したばかりの「さっぽろ創世スクエア」(札幌市中央区北1西1)に移転したHTB(北海道テレビ放送)。同社が、新所帯への移行によって使われなくなった旧本社ビルの土地建物の売却に向けて動き始めた。(写真は、札幌市豊平区の平岸高台にあるHTB旧本社ビル)
旧本社ビルは、札幌市豊平区平岸4条13丁目の平岸高台にあり本社と関連会社を含めた敷地は、2000坪(6600㎡)弱の広さ。HTBは、1968年にHBC(北海道放送)、STV(札幌テレビ放送)に続く3番目の民放として誕生した。創設者は、当時の北海道経済を支える重鎮だった金星自動車や札幌トヨペット社長の岩沢靖(おさむ)氏。
平岸高台に68年に建設された社屋はその後、81年ころに建て替えられた。建て替えのころ、岩沢氏は株の仕手集団「誠備グループ」の仕手戦で失脚、札幌トヨペットは会社更生法に追い込まれ、HTBも経営危機に陥った。その際に支援をしたのが朝日新聞社やテレビ朝日で、以降は朝日グループのテレビ局として現在に至っている。
平岸高台にあるテレビ局として長く展開してきたが、中心部から離れていることもあって開局50周年を節目に朝日新聞社北海道支社と共にさっぽろ創世スクエアの高層棟内に移転、それに伴って旧本社の売却に動き始めたもの。
旧本社のある敷地は、傾斜地で放送局の建物のため地下の構造は一般的な建物より堅牢とされ、解体や整地に通常以上の費用が掛かるとされる。売却に向けて入札を実施したとの情報もあるが、「お答えできる情報がありません」(広報)という。ただ、移転に伴ってさっぽろ創世スクエアの区分所有など費用負担が発生しており、旧本社売却を早期に進めたい意向のようだ。
HTBの旧本社屋を巡っては、同局の全国的な人気番組「水曜どうでしょう」の聖地として保存を求めるファンや地域の人たちの署名活動も行われたことがある。