右に見えるのは「サッポロドラッグストアー」、左に見えるのは「ツルハ」――ドラッグストアの消耗戦を象徴するような2社対決が繰り広げられているのは、千歳市高台の閑静な住宅街の一角だ。既存のサツドラ店舗の道路を挟んだ真向かいにツルハが昨年12月に新店を出したのだ。現場に行くと、互いに対抗心をぶつけ合い、顧客争奪に鎬(しのぎ)を削る熱気が伝わってくるかのようだ。こうしたドラッグ局地戦は道内各地に広がっている。(写真左は、道路を挟んでサツドラとツルハのポールサインが向き合う千歳市高台4丁目。写真右は昨年12月19日にオープンしたツルハ千歳高台店)
ツルハとサツドラは、道内ドラッグ2強だが、両社の差は現状では大きい。2012年度の道内売上高と店舗数を見ると、ツルハ1071億円、320店舗に対してサツドラは468億円、128店舗で店舗数の道内シェアを見るとツルハ56・9%、サツドラは22・8%となっており、横綱ツルハの半分程度の陣容がサツドラということができる。
ドラッグストアと言っても、今や日常的な買い物ならほぼ何でも揃い、ツルハとサツドラの品揃えの差は一般の買い物客にとって殆ど感じられない。
品目別の構成比でみると、医薬品はツルハが24%、サツドラが17%で化粧品はツルハ18・9%、サツドラ22%、食品はツルハが13%、サツドラは36・1%となっている。とりわけ食品は、日配食品やコメ、酒など一部の生鮮食品以外は何でも買えるほどで、ドラッグストアの競争力は如何に食品の品揃えを増やし価格訴求を強めて集客するかにかかっている。
これまでの2強の対決は、ツルハの商圏にサツドラが出店するケースが多く、札幌市内やサツドラが昨年秋から出店を始めた横綱ツルハのルーツの地である旭川市内でも同様だった。
しかし、千歳市高台のケースはこれとは逆。サツドラ既存店にツルハがピンポイントで新規出店する逆パターン。横綱ツルハがなりふり構わずサツドラ潰しに動き始めた象徴的な出店で、ツルハの系譜の中でも“千歳戦争”と位置づけられることになりそうだ。
ドラッグストアの既存店は、0・5%程度の成長しか見込めず客単価は下がる傾向にあって、消耗戦の様相を呈している。ツルハとサツドラの千歳戦争は、局地戦でありながら2社の個店の力量が試される市場テストの意味合いも持つことになりそうだ。