コープさっぽろ(本部・札幌市)は、デリカ(調理済み総菜)強化を基本戦略として既存店リニューアルに本腰を入れている。今年6月から既に15店舗の手直しを行っており今期中に20店舗超まで実施する。さらに来年度も20店舗以上の投資を行う計画で数年以内に全108店舗のデリカ強化を完了する。デリカの手直しによって同部門は2ケタの伸びを示しているという。(写真は札幌市西区発寒にあるコープさっぽろ本部)
デリカ強化の出発点となった店舗は、コープさっぽろがグループ化した志賀綜合食料品店(室蘭市)の室蘭駅前店。グループ化によって「コープさっぽろしが驛前店」に店舗名が変わったが、この店舗のデリカ部門は地域住民の支持を得て突出した構成比になっている。高齢世帯の増加や個食化が進む中でコープさっぽろはデリカ部門が店舗売上げの牽引役になると判断、「しが驛前店のノウハウを他の店舗にも広げる水平展開を今期から実施することを決めた」(横澤秀明執行役員店舗本部長)
コープさっぽろは経営危機後の1999年から「おいしい店」を標榜して既存店を一斉リニューアル、その後はコープ道東や道央市民生協、コープ十勝の統合などに経営資源を投入したため既存店への投資は必要最小限にとどまっていた。
こうした統合作業も完了、投資余力も出てきたことから、デリカ強化を基本に今期から既存店の一斉リニューアルに着手することになった。
具体的にはデリカ売場を拡充するほか、川下店(札幌市白石区)と余市店(余市町)ではハイブリッド型と称して新たな売場を構築、対面販売も行う体制にしている。また、11月末にリニューアルを終えた神楽店(旭川市)ではオープンキッチンをレギュラー化、新たな取り組みも始めた。
デリカ強化と併せて冷食のケースを平ケースからリーチインケースに更新する投資も行っている。
デリカ強化を行った店舗は同部門が2ケタの伸びを示している。また、ハイブリッド型を導入した川下、余市の2店舗は60%の伸び。平均すれば15%程度は売上げが伸びており「手応えを感じている」(横澤氏)
コープさっぽろでは1年間で最低でも20店舗ずつデリカ強化を行っていく考えで、30年を超える店舗についてはリニューアルと建て替えの両面で検討を進める。上期の店舗部門売上げは前年同期を上回っており利益もプラスを確保したため、「今年度は店舗再生の起点になるだろう」と横澤氏は語っている。