コープさっぽろが22日からエゾシカ肉の販売を6店舗で開始、HACCP対応食肉加工場など安全供給体制確立

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IMG_9362IMG_9373 コープさっぽろ(本部・札幌市)は、22日から札幌市内や北見市内など道内6店舗でエゾシカ肉の取扱いを始める。ステーキ用やしゃぶしゃぶ用の生肉と大和煮、スープカレーなどの加工品で安全管理体制が確立された屠畜場や加工工場で生産された肉のみを扱う。エゾシカは道内に59万頭生息(2012年度推定)しており増えすぎたエゾシカによる農業被害や交通事故が多発、捕獲数の拡大とともに食肉への利用拡大が急務になっている。コープさっぽろでは、エゾシカ肉の販売を機に道庁やエゾシカ食肉事業協同組合と3者間で消費拡大など協働事業を行う確認書の締結式も18日に併せて行った。(写真左は協働事業確認書締結=左から竹谷千里道環境生活部長、大見英明コープさっぽろ理事長、曽我部元親エゾシカ食肉事業協同組合理事長。写真右はエゾシカ肉ステーキ用のロース)
 
 エゾシカはサケとともに貴重なタンパク源としてアイヌ民族の間では食べられてきた経緯があり、明治初期には開拓使がエンゾカ缶詰工場を造って海外に輸出していた歴史もある。一時は乱獲による絶滅が危惧されたこともあるが、食文化の変化や野生動物保護などの観点から生息数が拡大。それに伴って農林業への被害や交通事故の誘発、生態系のバランスを崩す弊害が顕著に現れてきたことから道庁では2016年度の目標生息数を38万頭と割り出し捕獲による頭数調整に乗り出している。
 
 道によると、12年度には過去最高となる14万頭を捕獲したものの農林業被害は年間60億円を上回っておりさらなる捕獲が不可欠。しかし、捕獲後のエゾシカを資源としてどう有効利用するかが課題で食肉は最も有望な分野と期待されていた。
 
 ただ、野生種であるため肉の検査管理体制が確立されておらず安全・安心の食材として不十分だった。今回、屠畜場所として道が認定したHACCP(食品衛生管理)導入事業所の知床エゾシカファームのみを取扱い、獣医師のよる内臓や枝肉の目視点検、大腸菌群や黄色ブドウ球菌などが陰性の個体のみを扱うなど安全性が担保された供給販売体制が構築可能になったためコープさっぽろが取り扱うことになった。
 
 捕獲されたのちに一時的に飼育された雌のみを扱い、トレーサビリティが可能な個体識別で管理されている枝肉のみを扱う。
 
 コープさっぽろが販売するのは、ステーキ用やしゃぶしゃぶ用、切り落としの生肉のほか大和煮(阿寒グリーンファーム製、500円)やスープカレー(北泉開発製、698円)、ソーセージ(燻製工房ハンドヴェルク製、880円)、ジンギスカン(知床エゾシカファーム、598円)、ソフトジャーキー(南富フーズ、500円)など8つの加工品。価格は、モモ肉で100g当たり298円、ステーキ用ロースで同598円。
取り扱い店舗は札幌地区がルーシー店とソシア店、北見地区がみわ店、遠軽みなみ店、釧路地区は貝塚店、旭川地区はシーナ店の6店舗。年間販売目標は生肉で1250万円、加工品で440万円。
 
 コープさっぽろのエゾシカ肉販売に併せて道やエゾシカ食肉事業協同組合の3者はエゾシカ肉消費拡大や生物多様性保全、知床世界自然遺産など環境啓発について協働事業を実施していく確認書も締結した。

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