北海道のスーパー3強(アークス、イオン北海道、コープさっぽろ)の2025年度決算見通しは、3者とも増収増益となりそうだ。2024年度は、3者ともに増収減益だったが、一転、増益を見込む。インフレ環境下の営業戦略を浸透させ、インフレ耐性を磨く。(写真は、2024年11月にオープンした「コープさっぽろ ぬまのはた店」の惣菜コーナー)
アークス(本社・札幌市中央区)は、2026年2月期に売上高6230億円、営業利益164億円、経常利益180億円、純利益112億円を見込む。前期比2・4%の増収、2・9%の営業増益、2・6%の経常増益、1・2%の純利益増を予想する。営業利益は、前期がその前の期と比べて5・3%減少したが、今期は増加を見込む。
古川公一副会長・CFOは、「価格政策の徹底とアークスらしさ、鮮度、おいしさにこだわった商品を拡充するとともに、地元名店とのコラボ商品を開発、提供する」と話す。店舗DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、ユニバース(本社・青森県八戸市)で先行導入してきた電子棚札の検証結果をもとに、グループ各社で横展開を進める。「今期も(ロピアやトライアル、ドン・キホーテなど)競合が出てくるので、それに対する手当ては、今期の大きな課題になる」(古川氏)とする。
イオン北海道(本社・札幌市白石区)は、2026年2月期に売上高3820億円、営業利益98億円、経常利益95億円、純利益50億円を見込む。前期比7・9%の増収、24・2%の営業増益、18・5%の経常増益、38・6%の純利益増を予想する。西友承継に伴う設備投資が一服するが、西友のM&A費用を含めて、有利子負債が460億円に倍増、支払い利息負担が、経常益の圧迫要因になる。
価格訴求を強め、PB(プライベートブランド)の「トップバリュ」の中で好調な「ベストプライス」を価格戦略の柱とし、GMS(総合スーパー)、SM(スーパーマーケット)では、高購入頻度商品の価格競争力を高める。「イオン道産デー」「国内フェア」など、独自のセールで差別化を図る。
コープさっぽろ(本部・札幌市西区)は、2026年3月期に売上高(総事業高)3216億5800万円、経常利益(経常剰余)64億7900万円を見込む(営業利益=事業剰余と純利益=剰余は非開示)。前期比4・1%の増収、17・1%の経常増益となりそう。店舗事業は1945億3600万円、宅配事業は1218億7700万円を見込み、それぞれ前期比4・0%増、4・4%増を予想する。
大見英明理事長は、「NB(ナショナルブランド)商品のメリハリをつけた価格訴求を強めるとともに、ポイント対策に力を入れ、ポイントメリットを分かりやすく伝える販促を行う」と述べる。店舗DXに関連して、完全セルフレジを2025年後半から導入し、電子棚札も取り入れる。「人が行っている作業を、どこまで仕組みに置き換えていくかが課題」(大見氏)としている。