【新店の研究】「イオン旭川春光ショッピングセンター」~地域との共生を目指す新スタイル②

流通

 イオン北海道(本社・札幌市白石区)の「イオン旭川春光ショッピングセンター」(旭川市春光町10番地、以下イオン旭川春光SC)は、GMS(総合スーパー)の「イオン」とSM(スーパーマーケット)の「マックスバリュ」の中間に当たる業態のSCだ。(写真は、「イオン旭川春光店」のベーカリー売り場※店内写真は、いずれもイオン北海道の許可を受けて撮影しています。)

 イオン北海道が、初めて挑戦するこのNSC(ネバーフッド型ショッピングセンター)は、4年前のイオン北海道とマックスバリュ北海道の統合によって生まれた、戦略的SCと言える。SCの規模感は大きくもなく、小さくもない。程良い広さのSCに、食品とヘルス&ビューティーケアを備えたSMと、GMSではお馴染みの専門店が集積、ワンストップショッピングの利便性を高めている。

(写真は、デリカ売り場)
(写真は、鮮魚売り場)

 大規模SCには、非日常感があるが、「イオン旭川春光SC」には、毎日買い物に行こうと思わせる日常感がある。SM部分は、「イオン旭川春光店」と名付けられた。「マックスバリュ」のサイズだが、大型店「イオン」が取り揃えているヘルス&ビューティケアの売り場を併設。進化型SMの「イオン」の冠を、昨年11月オープンの「南平岸店」(札幌市豊平区)、2024年5月オープンの「北郷店」(同市白石区)に次いで使った。

(写真は、青果売り場)

 食品売り場で特徴的なのは、ベーカリーとデリカのコーナーが、ほぼ連続的にガラス張りのオープンキッチンになっていること。内部の作業が見え、臨場感が高まる。こうしたガラス張りのオープンキッチンは、他の店舗でもあるが、この店舗のオープンキッチンは、GMSの「イオン」を思い起こさせる洗練さがある。地元食材を豊富に揃え、冷凍食品を強化し、鮮魚の対面売り場導入や鮮度の良いネタを使用した「魚屋の寿司」を設けるなど、同社の最新MD(販売政策)を横展開している。

(写真は、ヘルス&ビューティーケアの「BODY LABO」売り場)

 ヘルス&ビューティーケア売り場は、食品売り場と壁で隔て、専門店街の一画を占めるように配置した。また、フラワー&ガーテン売り場もコーナー化して、専門店の一部に組み込んだ。専門店街には、SCには、不可欠なアパレル関係の店舗はリーシングしていない。

(写真は、専門店街の中核店舗「COrSO ASAHIKAWA」)
(写真は、「珈琲所コメダ珈琲店」)

 専門店街の中核店舗は、釣り具・アウトドア・食品の「COrSO ASAHIKAWA」。アイビック(本社・札幌市東区)が展開する「COrSO SAPPORO」の2号店で、売り場面積は約340坪(約1122㎡)。アウトドアウェアなど女性向けを豊富に品揃えするなど、札幌の店舗とは違うMDを取り入れている。その他にも、「メガネのプリンス」や「珈琲所コメダ珈琲店」、「ABC-MART」、「Can★Do」などATMを含めて21店舗が入っている。大規模SCは、広域商圏をカバーするが、NSCは、足元の小商圏に対応した日常使いを企図した商業施設。イオン北海道初のNSCの可能性を検証するパイロット施設の役割も加味しながら、「イオン旭川春光SC」は、スタートを切った。

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