好調「業務スーパー」FC運営のケヒコがなぜ破産申請、民事再生への切り替えはないのか

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 業績が好調な「業務スーパー」を北海道で7店舗FC(フランチャイズ)運営するケヒコ(本社・横浜市中区)が、2024年7月23日に、横浜地裁に破産申請をしたことが分かった。本業が好調な中、ケヒコは、なぜ破産申請に踏み切ったのか。今後、労働組合側が異議申し立てをするかどうか、民事再生法への切り替えで、スポンサー探しに移行するかどうかなど先行きは不透明だ。(写真は、ケヒコが2024年5月30日にオープンさせた「業務スーパー室蘭店」)

 ケヒコは、神戸物産(本社・加古川市)のフランチャイジーとして「業務スーパー」を北海道でFC展開している。1号店は、2013年8月22日にオープンした「すすきの狸小路店」(札幌市中央区)。同店は、札幌市内の「業務スーパー」1号店でもあった。当時、ケヒコは京濱港運(本社・横浜市神奈川区)の関連会社で、その後も2015年6月18日に「苫小牧店」(苫小牧市)、2018年2月15日に「旭神店」(旭川市)、2019年11月1日に「岩見沢店」(岩見沢市)と順調に出店を続けた。

 しかし、3年前に京濱港運オーナーの遺産相続の関係で、ケヒコやエス・インターナショナル(本社・横浜市中区)が、京濱港運と資本関係を解消、新たに京濱港運の親族が、代表取締役に就いた。以降も、2022年10月6日に「苫小牧東店」(苫小牧市)、2023年4月6日に「滝川店」(滝川市)、2024年5月30日に「室蘭店」(室蘭市)と出店を続けてきた。

 順調に新規出店を続け、本業の業績も好調なケヒコだったが、今年6月に入って労組側が、代表取締役による会社資金の私的流用疑惑や自己破産申請の準備に抗議、団体交渉を求めて「業務スーパー」6店舗の時限ストを実施。経営側が求めに応じなかったため、7月18日からは、全7店舗で無期限ストに入った。労組側は、同月25日の給料日に、経営者側から支払いの見込みがないと判断、前日の24日から経営者側に通告して、給料原資確保のため、在庫限りでの営業を再開していた。

 25日には、労組側が、各店舗が所在する労働基準監督署に賃金不払いの申し立てを行い、各労基署は、労組側の聞き取りを実施、経営者側への行政指導を待つ段階だった。そうした中で明らかになったのが、経営者側による自己破産申請。労組側は「経営者側から連絡が一切ない状態が続いている。私たちとしては、新たに仕入れができない中、在庫がある限り店舗の営業を続けていく」と話す。
 今後は、代表取締役による私的流用疑惑が、法的措置に進むのかどうか、破産申請の異議申し立てがあるのかどうか、さらに破産申請から民事再生への移行で「業務スーパー」7店舗の事業承継を模索するのかなど、関係当事者の選択に委ねられることになる。東京商工リサーチによると、破産総額はケヒコが4億9208万円、エス・インターナショナルが3億6288万円。

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