北雄ラッキー川端敏社長インタビュー①「買い物困難地域で食品と衣料のコンパククト店の展開を目指したい」

流通

 北雄ラッキー(本社・札幌市)は、6月17日に本社を札幌市中央区から手稲区にある同社の星置駅前店内に移転した。耐震性に劣り建て替えに迫られていた旧本社を売却、旧ダイエー店舗を取得して営業している星置駅前店1階に移した。本社移転を機により地域密着を強め、激しい食品スーパー同士の競争に生き残りをかける川端敏社長に今後の方針を聞いた。(写真は、インタビューに答える川端敏社長)
 

 ――本社移転の経緯は。
 
 川端 旧本社は食品卸だった古谷の本社だった建物で老朽化が進み、耐震性にも劣っていた。建て替えを検討していたところへ医薬卸のスズケンが取得の意向を示したので売却することにした。9月までに更地にして引き渡すことになっており、スズケンは物流センターを建設すると聞いている。北大病院や市立札幌病院にも近く医薬卸のセンターとして好立地のようだ。
 
 ――星置駅前店内に本社機能を移すことを決めた理由は。
 
 川端 JRの星置駅に直結しており、地盤がしっかりしていることが一つ、それに元ダイエーのハイパーマートだったのでバックルームも広くスペースを十分に取ることができたのが二つ目の理由だ。本社移転に当たり、売場を300坪縮め、バックルーム200坪を使って本社スペースとして500坪を用意した。売場は400坪になったが小さくなった感じがせず、店舗の効率化と本社移転の一石二鳥の効果があった。本社移転は5回目。4回目の旧本社は24年間利用したが、それ以前は2~3年おきに移っていた。
 
 ――ところで、今期に入って以降の業績環境に変化はありますか。
 
 川端 当社は価格で競争することより品質重視で展開している。差別化路線は順調とは言えないまでも、社員やパート従業員の意識はかなり変わった。劣化した商品が売場に出ているようなことはないし鮮度、質、規格、サイズなど絶えず注意を払えるようになってきた。
 客数は横ばいで、3~5月の第1四半期売上げは既存店で99・5%だった。3月が100%を少し上回り、4月は96%、5月は101・8%。4月は気温が低かったこともあるが、数字を見ている限り毎年4月は良くない。随分と売れなくなってきているという印象だ。
  
 ――最近のお客のニーズはどう変わってきていますか。
  
 川端 少量、食べきりの需要が増えてきたが、それは以前からの傾向。当社は、少子化、高齢対応といった品揃えをもともとやってきている。ただ、地方の人口は札幌市内より減っているはずなのにまとめ買いの需要が結構ある。札幌市内と地方の戦略を切り分けて二眼体制でマーチャンダイジング(MD)をやっていくことが当社にとっては一番大切だ。
  
 ――美幌、遠軽、網走、紋別、稚内など地方にある店舗は堅調ということですか。
  
 川端 地方は店舗規模が大きく売上げのベースも大きい。店数は札幌市内が17店で札幌以外の地方が17店でちょうど半々。しかし、売上げと利益は地方が大きい。競合店が少なく戦う相手がはっきりしているからその対応をすれば戦える。しかし、札幌市内はどこかが仕掛けてくれば玉突き状態で業界全部に影響してくる。その点、地方は戦い易い。
 
 ――食品スーパー業界は、淘汰再編が避けられないでしょうか。
 川端 淘汰は相当進んだ。この30年間、いや10年スパンを見てもベスト10の中で同じ会社なのは当社だけ。他は資本関係でつながったり吸収されたりしており、その中で当社だけが、化石のように同じ名前でいる。食品スーパーを取り巻く厳しさはずっと変わっていない。当社はどことも一緒にならない。
 
 ――今後の店舗戦略はどうか。
 
 川端 札幌市内よりも地方での出店を考えたい。今年10月に出店する倶知安店では、冬場に長期滞在の外国人が増えることなど地域に合わせた品揃えを探っている。今後は、物流網があるオホーツクエリアで出店を考えたいが、人口が多い地方は大体出店しているので、サイズが少し小さい店で埋めて行けるかも知れない。
 
――食品スーパーの小型化ですね。具体的には計画はありますか。
 
川端 当社は衣料も持っているので小型の衣料店を買い物難民の地域に出店していきたいと考えている。人口5千人や1万人のマチでは食料品に関してはセイコーマートやAコープ、買い物バスが走ったりしているが、衣料店は出ていない。そういうところに食品と衣料を組み合わせたコンパクトな店舗を出したらどういうことができるかについても検討している。
 (以下、次回に続く)

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