コープさっぽろ(本部・札幌市)は28日、「北海道電力の電気料金値上げは必要か」をテーマに緊急の学習会&説明会をコープさっぽろ北12条店2階(札幌市北区)で開催した。講師は、元北電社員の水島能裕氏(66)。「どこまで企業努力をしたのか」や「内部留保を取り崩したのか」「なぜ、泊原発再稼働を前提にするのか」といった素朴な疑問について解説、組合員ら約50人が参加した。コープさっぽろでは、6月5日に北電社員2人による値上げ説明会も開催する予定。(写真は、講師を務めた水島能裕氏)
電気料金の値上げは33年ぶりだが、電力会社はこの間に値下げを14回行った。しかし、燃料費調整制度で届出のみで値下げできるため値下げの幅を抑えて有利子負債の返済などに回してきた。その結果、電力各社の有利子負債は減少し内部留保も積み上がった。
水島氏は、「内部留保(北電は約4400億円)の取り崩しや金融機関からの借り入れをすればすぐに値上げする必要があるのか」と述べたうえで、「北電の土地建物には一切抵当権が付いていない。北電に在職中は土地建物の売買が私の仕事の半分を占めていたが、抵当権が付いていなかったから(抵当権の)解除という面倒な手続きもなく売りやすかった。金融機関が抵当権を付けないのは、電気料金を値上げすれば回収できるから」と説明、内部留保取り崩しと不動産等に抵当権を付けて金融機関からの借り入れを増やすことも値上げを抑える対策になると主張した。
水島氏によると、北電の値上げが他の5電力会社と違う点は向こう3年間の平均原価について燃料費が減少し人件費が増加するとしている点。「北電以外の5電力会社は火力発電所の焚き増しによる燃料費の増加を最大の要因に挙げているが、北電は今後3年間で泊1号機が2013年12月、2号機が14年1月、3号機が14年6月に順次再稼働することを見込み燃料費が減るとしており燃料費の増加で値上げするとは言いづらい申請内容。また、人件費もこれまで退職金の引当金を原価に参入しなかったが、今回は0・2%でしか運用できないとして原価に入れている。これまで値上げ申請した5社で人件費が増えるとした会社はない」と北電の値上げ理由が他の電力会社と違っていることを認識すべきと説明した。
そのうえで、北電が値上げに踏み切らざるを得ない本当の理由は、原発を再稼働させるために必要な安全対策費の増加と収入の低下によるものだと強調した。
水島氏の講演後には札幌会場のほかテレビネットワークで中継された美幌や北見の会場から、「一般家庭の自由化はいつころからか」、「地熱発電の可能性」、「オール電化の夜間割引“ドリーム8”の蓄熱割引きはどうなるか」などの質問があった。
コープさっぽろでは、この学習会&説明会を参考に組合員の意識を高めたうえで、6月5日に北電社員2人による値上げ説明会を開催する。