歳末商戦のトライアルに冷や水、存在感高める北海道で足元揺らぐ

流通

 トライアルカンパニー(本社・福岡市東区)が農林水産省の立入検査を受け、北海道の3店舗で生鮮水産物と水産物加工品に不適切表示の是正措置を受けた。トライアルカンパニーは、北海道で出店を増やし、業界で目立つ存在になりつつある。同社への食品表示法に基づく是正措置は、歳末商戦を控えたスーパーマーケット業界への頂門の一針とも言えそう。(写真は、不適切表示があった「スーパーセンタートライアル岩見沢店」)

 北海道のスーパーマーケット業界が当局から立入検査や処分を受けたのは、2012年1月のラルズによる独占禁止法違反(優越的地位の濫用)、同年3月のコープさっぽろによる値下げ過大表示の景品表示法違反のケースがある。当時、ラルズの持ち株会社アークスがユニバースを統合、ラルズの存在感が高まりつつある時期だった。また、コープさっぽろは、前年に旧旭友ストアーの店舗を継承するなど、スーパーマーケット業界での地位が高くなりつつある時期だった。今度のトライアルも、北海道でイオン、アークス、コープに次ぐ立場になりつつある中での立入検査だった。

 12月後半から始まる歳末商戦は、各スーパーにとっては書き入れ時。品質管理がおろそかになりかねない時期だけに、農水省は北海道で存在感を高めつつあるトライアルに的を絞った可能性がは高い。原産国名や原材料名、原料原産地名の違反確認は、北海道で急成長を遂げる、トライアルの品質管理の急所を衝いたものとなった。

 ラルズは公正取引委員会、コープさっぽろは道、今回のトライアルは農水省と監督官庁は違うが、業界で露出度が高まってきた企業・団体を調査、措置することで、業界全体の引き締め効果を狙ったアクションの一つと捉えることもできる。ともあれ、トライアルにとっては、意気が揚がるこの時期に冷や水を浴びせられた格好だ。歳末商戦やそれ以降の業界動向に、どんなバタフライ効果を引き起こすか。

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER