北海道農業の巨人、ホクレン農業協同組合連合会(本所・札幌市中央区)の系列スーパーマーケット「ホクレンショップ」を展開するホクレン商事(本社・同市北区)が、既存店舗の活性化に本腰を入れ始めた。巨大資本をバックにしながら、道内のスーパーマーケット業界では眠れる獅子のような存在だった同社だが、覚醒したかのように、連続店舗リニューアルを実行、訴求力の巻き返しを図っている。(写真は、2023年11月23日にリニューアルオープンした「ホクレンショップ中ノ沢店」)
ホクレン商事は、ホクレン系列でありながら、派手さがなく地味な存在。道内スーパーマーケット市場では、4位の立場をキープしているが、自ら発信して買い物客を獲りに行くという積極策は見えてこない。20数年前には、積極出店を行い、商業施設も自らつくるなどアクティブに動いた時期もあったが、この10年間は、スーパーマーケット業界4位という立場に似合わず、あまり注目されない存在だった。
ここ数年は、札幌市内の店舗閉鎖が続き、地方でも閉店が目立つなど、このままでは縮小均衡に進まざるを得ないような店舗環境になっていた。そんな逆風が吹く中、危機をチャンスに変える動きがようやく表面化してきた。「札幌圏は、ホクレン商事にとって地盤の商圏。しっかりとテコ入れをして、地域のお客さまに喜んでもらうことが不可欠」(中里雅明常務取締役店舗事業本部長)。
この言葉通り、同社は、今年に入ってから既に3店舗の活性化を行った。冷蔵・冷凍ケースの入れ替えやMD(販売政策)の見直しなど、各店舗に億単位の資金を投入している。11月23日にリニューアルオープンした「ホクレンショップ中ノ沢店」(札幌市南区中ノ沢2丁目2)では、開店前に行列ができ、入場制限が午前中いっぱい続いた。「中ノ沢店の売り上げは、以前に比べて120%がマストの計画。初日、2日目と見る限り、お客さまの期待に応えられていると思う」(中里常務)。
ホクレン商事が3店舗連続で活性化を行うのは、近年ないことだが、さらに今期(2024年3月期)中に札幌市内でもう1店舗の活性化をする。その勢いを保って「1~2年後には新規出店も行いたい」(同)。沈黙を破り始めた「ホクレンショップ」、買い物客は待っていた。