まさに「ご近所スーパー」と言える存在だった食品スーパー「ベンリー」(札幌市中央区南21条西9丁目2-6)が、2023年10月6日に廃業した。廃業を告知したのは10月4日。在庫がなくなり次第閉店としていたため、告知から2日で50年にわたる営業に終止符を打った。(写真は、2023年10月6日で閉店した「ベンリー」)

「ベンリー」は、市電山鼻線の東屯田通停留所の前にあるスーパー。創業は50年を超え、当初は「21条百貨店協同組合」が設置者だった。その後、協同組合は株式会社組織の山大藤森商店になり、同社が承継して運営、「ベンリー」の名称で文字通り、歩いて買い物ができる便利な「ご近所スーパー」として人気があった。

 店舗の広さは約150坪で、全日食グループに加盟、グローサリー商品や日配品については全日食から供給を受け、生鮮品については市場から仕入れていた。水産物の加工や惣菜製造はバックヤードで行い、惣菜は「おいしい」と評判だった。2000円以上は無料で配達していたほか、電話での注文も受け付け、高齢者の買い物需要にも対応していた。

 閉店の理由は、経営者の死去によるもの。後継者もいないため廃業を決めたという。店舗従業員は約50人だった。「ベンリー」の近くには、「北海市場山鼻店」や「コープさっぽろやまはな店」が相次いで進出して影響を受けていたが、地域密着の昔ながらのスーパーとして人気は高かった。店長の浪田雄介さん(39)は、「何人ものお客さまから『残念です』と声を掛けていただき、あらためて愛されているお店だったと感じました」と話していた。

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