香港投資ファンド株主提案に揺れるツルハ、新店「北見大通店」閉店が示すドミナント戦略の揺らぎ

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 香港投資ファンド、オアシス・マネジメントから会長退任や収益力改善の提案を受けているツルハホールディングス(本社・札幌市東区)。その子会社ツルハ(同・同)が店舗展開で迷走している。昨年9月にオープンした「ツルハドラッグ北見大通店」(北見市西富町1丁目12-18)がひっそりと閉店、後継テナントとして「西松屋北見西富店」が2023年7月下旬にオープンするからだ。(写真は、閉店告知のないまま閉店した「ツルハドラッグ北見大通店」)

「ツルハ北見大通店」は、国道39号線(北見大通)沿いにあった「TSUTAYA北見店」(2021年2月14日閉店)跡地に建設された新設店舗。店舗設置者は、総合リース業のNTT・TCリース(本社・東京都港区)。同社は、NTT(同・同都千代田区)と東京センチュリー(同・同)の資本業務提携によって、2020年2月、NTTファイナンス(同・東京都港区)の国内外リース・ファイナンス事業を分社化して誕生。ツルハは、NTT・TCリースが建設した建物を賃借して営業を開始した。店舗面積は約377坪(1247㎡)、駐車場の収容台数は43台。

 しかし、昨年9月29日にオープンしたばかりの新店舗が、2023年6月現在で閉店状態になっている。店頭告知はなく、ツルハホールディングスが毎月開示する閉店情報にも記載がない。既に店舗看板とポールサインから、「ツルハドラッグ」の表示は消えている。

 閉店告知のない店舗跡には、マタニティ・ベビー・子ども服の西松屋チェーン(本社・兵庫県姫路市)が、7月下旬に居抜きで出店、「西松屋北見西富店」をオープンすることが決まっている。「西松屋」は以前、この地の隣接地で「西松屋北見店」を居抜き展開していた経緯がある。現在、「西松屋」は北見市内に「北見三輪店」(中央三輪6丁目436-5、サツドラ店舗跡)を展開している。「北見西富店」のオープンで距離的に近い「北見三輪店」が、集約される可能性がある。

 ツルハは、これまでドミナント(集中出店)戦略による面的シェア拡大を最優先する店舗戦略をとってきた。しかし、「北見大通店」は、ドミナント戦略の修正を象徴的に表している。リースバックによる新店展開は、長期間の賃借が条件。この物件は「西松屋」への転貸と想定されるが、ツルハの店舗戦略が曲がり角にきていることは確かなようだ。

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