定期的に構造改革の進捗状況について公表しているセブン&アイ・ホールディングス(本社・東京都千代田区)。3月9日には、中期経営計画のアップデートならびにグループ戦略再評価の結果について公表した。その中で大きなポイントは、総合スーパー、イトーヨーカドーの店舗を2026年2月末までに現在の2割超を削減して、93店舗にすること。この方針に従って、道内イトーヨーカドー店舗閉鎖はさらに進むのか。(写真は、イトーヨーカドー北見店)

 新たに決まったのは、既に閉店が決まっている19店舗に加え、新たに14店舗を閉店すること。2023年2月末で126店舗あるイトーヨーカドーを、2026年2月末までに93店舗にするという内容。

 道内のイトーヨーカドーは、撤退のスピードを速めてきた。2007年1月21日に「江別店」(江別市)、2009年2月28日に「千歳店」(千歳市)、2010年1月11日に「苫小牧店」(苫小牧市)、2013年9月16日に「新川店」(札幌市北区)、2019年1月20日に「釧路店」(釧路市)、同年9月29日に「恵庭店」(恵庭市)、2021年5月9日に「旭川店」(旭川市)、2022年7月3日に「函館店」(函館市)がそれぞれ閉店。

 現在は、「北見店」(北見市)、「帯広店」(帯広市)のほか、「アリオ札幌店」(札幌市東区)、「屯田店」(同市北区)、「福住店」(同市豊平区)、「琴似店」(同市西区)の6店舗が営業しており、今年秋に開業する、建設中のビルに入る「すすきの店」(同市中央区)を加えれば7店舗。

 この15年近くを振り返っても、道内のイトーヨーカドーは新規出店があったものの、残念ながら撤退の色合いが濃い。撤退後の店舗に「スーパーアークス」や「トライアル」、「ドン・キホーテ」、「ザ・ビッグ」などが入ったところもあるが、後継テナントが決まらない店舗もある。

 人口減少や地域の競合店などを勘案すれば、道内店舗のさらなる閉店は避けることができそうにない。道内のスーパーマーケットが手本にしたイトーヨーカドーの店舗には、かつての勢いはない。北海道では、イオンに完敗していることは否定できないし、それを盛り返そうという動きも見えてこない。イトーヨーカ堂が30%の株式を持つダイイチ(本社・帯広市)との間で、目に見える積極連携策も出ていない。

 小売業には勢いが必要だ。勢いは店舗に力を与え、売り場の活気に繋がり、お客に元気を与える。閉塞感は、業績悪化以上に小売業の大敵だ。少ない店舗でもきらりと光るスーパーとして、再び道民の心を掴むことができるか。北海道のイトーヨーカドーは正に分水嶺に立っている。



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