北海道の地場単独スーパーが、相次いで閉店している。釧路市の地場スーパー2社がそれぞれ1店舗ずつ閉店したのに続き、8月末には室蘭市内のスーパーが廃業する。いずれも地域に密着した店舗だったが、コロナ禍1年目の需要増の反動減が響いているほか、商品の物流コスト上昇も利益を圧迫しているため。(写真は、2020年3月に閉店した「アルファマート母恋店」)

 釧路の地場スーパーだった「あいちょう美原店」(美原4丁目1-8)は今年2月25日、「激安スーパーヒロセ鳥取店」(鳥取大通6丁目7-7)は今年3月末に閉店した。「あいちょう美原店」は、あいちょう釧路が、2016年に営業を始めた店舗。閉店により「芦野店」と「星が浦店」の2店舗になった。「激安スーパーヒロセ鳥取店」は、有限会社スーパーヒロセが展開している店舗で、1981年に開業、営業開始から41年で幕を閉じた。同社の店舗は「睦店」(釧路郡釧路町)の1店舗になった。日本製紙釧路工場の撤退などで消費環境が変化したことに加え、惣菜などバックヤード業務の人手不足も影響した。

 室蘭市内で地域密着の小型食品スーパー2店舗を展開しているアルファーマートは、8月末で「八丁平店」(室蘭市八丁平1丁目49-8)と「新生店」(登別市新生町3丁目10-6)を閉店する。同社は2003年4月設立で、同年5月に「母恋店」を開店、2004年7月に「八丁平店」、2005年7月に「新生店」を開いた。「母恋店」は2020年3月に閉店しており、「八丁平店」は今年6月末の火災により閉店中で、以降は「新生店」1店舗で営業をしていた。同社がスーパーの廃業を決めたのは、「八丁平店」の再開コストが多額に上り、投資負担に耐えられないほか、「新生店」のみでは採算が難しいためという。

 地方の地場小型スーパーの多くは、同様の閉店危機に晒されている。大きな要因は物流コストの上昇。これらスーパーは商品調達の物量が少ないため、物流コスト上昇がもろに物流費に跳ね返っている。また、コロナ禍1年目は巣ごもり需要で売り上げが跳ね上がったが、コロナ2年目以降はその反動減が続いている。さらに食品値上げも買い控えに繋がっている。地方地場スーパーは、大手とのチェーン化や同業者との共同仕入れなど生き残りの岐路に立たされている。


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