帯広の地場資本百貨店「藤丸」(帯広市西2条南8丁目1番地)が2023年1月末で閉店し、私的整理を検討することが分かったが、藤丸の土地建物には北洋銀行などが約40億円の抵当権を設定している。また、土地建物の権利関係は複雑で、再建には難航も予想されている。(写真は、帯広市内の「藤丸」)

 藤丸は1900年、「北越呉服」として創業、1930年に百貨店となり、1982年に現在地に地上8階建ての現店舗を建設して現在に至っている。最盛期の1992年には約134億円を売り上げていたが、その後は売り上げが低迷、直近の2021年8月期の売上高は44億7600万円となりピーク時の3分の1になった。同期の営業損失は2億6600万円、7期連続赤字だった。
 土地は藤丸が所有しているが、ふじまるビルや藤丸のほか10数人が賃借権者となって賃借権(賃借人が土地を使用できる権利)を設定、賃借期間は1980年から60年間となっている。その賃借権には質権も設定されているほか、一部は相続により質権設定者も代替わりしている。

 また、土地建物には、藤丸とふじまるビルが債務者となって、総額で39億2500万円の抵当権が設定されている。内訳を見ると、北洋銀行が29億9000万円で最も多く、次いで日本政策投資銀行が5億円、帯広信用金庫が2億8500万円、北海道銀行が1億5000万円となっている。藤丸は私的整理による再建を目指しているとされるが、各金融機関にとって問題となるのは債権放棄した場合に税務上、それが無税償却(損金計上)として認められるかどうかという点。事業譲渡や会社分割など事業再生に向けたスキームと関わってくるだけに、私的整理の先行きには難路が予想される。


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