イオン(本社・千葉市美浜区)が、100円ショップのキャンドゥ(同・東京都新宿区)を子会社化することになった。TOB(株式公開買い付け)や創業家の資産管理会社から株式を取得することで、キャンドゥの保有株式を51%にする方針。(写真は、「DCMホーマック音更店」内のキャンドゥ店舗)

 100円ショップ業界は、ダイソー(本社・広島県東広島市)、セリア(同・岐阜県大垣市)、キャンドゥ、ワッツ(同・大阪市中央区)が4強。売上高は、ダイソー5262億円(2021年2月期)、セリア2006億円(2021年3月期)、キャンドゥ730億円(2020年11月期)、ワッツ507億円(2021年8月期)で、ダイソーは非上場、セリアは東京証券取引所ジャスダック、キャンドゥとワッツは東証2部に上場している。

 設立は、ダイソーが1977年で最も早く、セリア1987年、キャンドゥ1993年、ワッツ1995年と続いている。いずれの100円ショップも創業家の株式保有が高く、流通系企業が大株主になっているところはない。創業家のカラーを残した経営体制と大手系列に属さない営業展開の自由度が、100円ショップの成長を支えてきた。それゆえに北海道で言えば、アークス傘下スーパーやコープさっぽろ、イオン北海道、ダイイチ、北雄ラッキー、DCMホーマック、ツルハなどどこへでも出店できた。成長を支えたのは、商品開発力やマーケティング力もさることながら、大手流通系列に染まらない色の付いていない安心感も大きかった。

 イオンがキャンドゥを子会社化すれば、当然イオン色が付く。道内のキャンドゥ店舗を見ると、99店舗のうち「DCMホーマック」グループ店内20店舗、「イオン」グループ店内11店舗、「ツルハドラッグ」店内10店舗、「ラッキー」グループ店内10店舗、「コープさっぽろ」店内6店舗などと続いている。「DCMホーマック」や「ツルハ」は、イオンが大株主でいわばグループ。そう考えると、イオングループの店舗内には41店舗も出店していることになり、イオンによるキャンドゥ買収に違和感はない。ただ、道内でイオンと競うアークスグループやコープさっぽろ、イトーヨーカドーの店内への出店も多い。ヨーカドーやアークスの店内にイオンの100円ショップが入っている図は、少なからず違和感がある。それもよしとなるのかどうか、100円ショップにとって成長の節目になりそうだ。



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