コープさっぽろは、室蘭市輪西町の「コープさっぽろしが輪西店」を20日に閉店した。同店は、室蘭の志賀綜合食料品店から引き継いだ複合商業施設「ぷらっと・てついち」内にある中核テナント。賃料が高く、鮮魚はテナント運営されていたこともあって採算に合わなかった。コープさっぽろが撤退した後には、近くに店舗があるラルズの「ホームストア輪西店」が入居する予定。
「ぷらっと・てついち」は、2001年にオープンした市民会館ホールと併設した複合商業施設。当初は、室蘭の食品スーパー志賀綜合食料品店が中核テナントだったが、志賀の経営悪化で09年にコープさっぽろがグループ化。それでも経営改善が進まず、志賀が事業を停止し昨年7月からコープさっぽろが店舗運営を継承していた。
ただ、同施設は市民会館との併設で共有部分が非効率で賃料も高く設定されたままだったため、「引き継いだ以降も持ち出しが多く、収益が上がらなかった」(コープさっぽろ幹部)。店舗運営を継承して以降、改善が進まなければ1年をメドに撤退する方針を固めていたこともあって、1年が経過した8月20日で撤退した。
コープさっぽろの撤退を受けて、施設を所有する輪西中核施設協同組合は後継テナントとして近隣にあるホームストア輪西店を誘致。協同組合員が同施設で経営するコメ小売りなどを廃業してホームストアとの競合部分を回避、受け入れ態勢を整えた。また、賃料も低減しホームストアの運営に協力する対策も講じた。ホームストアは今秋にも移転オープンする見通し。
今回のコープさっぽろの撤退は、志賀の運営から継承するにあたり施設を所有する協同組合との入居交渉にホダンのかけ違いがあったことが最後まで尾を引いたことがあげられる。協同組合側にすれば、志賀をグループ化したコープさっぽろが同一条件で継承するのが筋と主張、コープさっぽろにすれば継承に向けて条件緩和は当然と考えていた。結果的に、ブランクを置くことは得策ではないとしてコープさっぽろは旧条件で継承せざるを得なかった。こうした見切り発車が双方の交渉をさらに難しくしたことは否めず、1年を経過して撤退という結果になった。
後継として出店するホームストアは、協同組合側の譲歩を引き出し採算に合う賃料ラインを設定、コープさっぽろとは違った前提条件で営業展開することになる。
コープさっぽろにとって今回の撤退は、大きな教訓になったようだ。ちなみに、同時期に同じく志賀から継承した「コープさっぽろしが駅前店」は、長崎屋室蘭中央店の閉店が迫っていることもあって前月比50%の売り上げ増を見せているという。