コープさっぽろ(本部・札幌市中央区)のグループ会社が「弁菜亭」の商号を持つ札幌駅立売商会(本社・札幌市東区)の全株式を取得した。コープさっぽろは、食のインフラ事業を拡充しており、弁当・仕出し事業を加えることで食のインフラ事業のチャネルを増やす。(写真は、札幌駅に近い北8条東2丁目にある札幌駅立売商会の本社・工場)

 札幌駅立売商会の創業は明治32年で今年で122年の老舗。「弁菜亭」の商号で知られ、JR札幌駅などで駅弁事業を展開しているほか、観光バスやホテル向けの仕出し弁当、パーティーオードブルなどを手掛けている。年間売上高は約6億円、駅弁事業が約3割、仕出し事業が約6割を占めている。

 昨年2月以降の新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響などを受け業績が悪化していることに加え、競争激化の経営環境では大手グループに入って生き残りを図った方が得策と判断、支援先を探していた。

 コープさっぽろは、店舗や宅配で惣菜を製造販売しているほか、高齢者向け配食事業、病院や老健施設の給食事業も手掛けるなど食のインフラ事業を強化している。また、物流もコープさっぽろのグループ会社が行うなど自前化しており、こうした食のインフラ事業を広げる目的で、グループ会社のコープフーズ(石狩市)が札幌駅立売商会の全株式を今年2月に取得した。取得額は非公表だが2億円強とみられる。

 商号や社名は変更せず、従業員の雇用も継続、創業家の洲崎昭光社長も続投する。コープさっぽろでは、食材の仕入れを統合して原価低減を図り、札幌駅立売商会の経営力を強化するとともにコープさっぽろの組合員向けに仕出し事業を始める。今後は、コープさっぽろグループの食品工場として相互に連携を図り、製造面のBCP(事業継続計画)に組み込むことも検討する。



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