一般財団法人さっぽろ産業振興財団は2日、「販路拡大の理論と実践」をテーマにした中小企業経営セミナーを、札幌市白石区の札幌市産業振興センターで開催した。市内や道内の食関連事業者やスーパーと取引を検討中の業者などを対象にしたもので、北雄ラッキーの桐生宇優社長が講演した。(写真は、講演する桐生宇優社長)

 セミナーの副題は、「スーパーマーケットとは?バイヤーとの付き合い方とは?」。桐生社長は、最初に昭和30年代から40年代のスーパー創成期に渥美俊一氏が組織した「ペガサスクラブ」の紹介や当時の経営者などについて話した。創成期は大量に仕入れて大量に売る時代だったが、現在は多種多様な商品が出回って消費者にも様々な情報が届くようになっているため、「マーケティングをしっかりと行って商品づくり、売り場づくりを徹底して進めないとお客さまにアプローチできなくなっている」と話した。

 今後のスーパーについて、「店内調理などバックヤード業務でスーパー経営はどうしてもコスト高になるため、デジタル化、省力化を進めなければならない。またIDPOSの導入でお客さまの買い物動向を把握、ターゲットを決めた販促や商品の品揃えを進めることが不可欠。さらにキャッシュレス化はまだまだ進むだろう。当社のキャッシュレス比率は全国トップレベルの55%で、75%の店もある。こうしたデジタル化、省力化を進めることでコスト低減を図れば、ドラッグストアなど他業態に流れたお客さまが少しずつ戻ってくるだろう」と述べた。

 また、コロナ禍による巣ごもり需要拡大で30代が料理をするようになったことに触れ、「30代、40代がスーパーに行くことを楽しいと思わせる工夫が必要だ。楽しい料理提案など、日常ではなく非日常として楽しませる空間にすることが大切。当社には古い店舗も多くて楽しい空間づくりはなかなかできないが、店内で流す曲は楽しくなるようなノリの良い曲にしている。その一環として制服も一新する」と話した。

 ウィズコロナ、アフターコロナについて、「飲食店とスーパーの垣根がなくなっていくだろう。飲食が小売りに取り組み、スーパーが飲食に取り組まないとやっていけない状況になる。例えばスーパーの店内でワインを飲んでもらうような飲食空間やイートインコーナーで誕生日パーティーができるようにするなど、飲食店に近づくことが必要になるだろう」と力を込めた。



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