苫小牧や札幌圏内で「フードD365」などの食品スーパーを13店舗展開している豊月(本社・芦別市、本部・苫小牧市)は、2020年1月期が始まった今年2月から販促チラシを半減している。スーパー各社はチラシを販促ツールとして重視、回数を減らせば売り上げの減少に繋がると見ている。しかし、豊月の5ヵ月間の売り上げは前年同期間比100%で、「チラシ半減の影響は出ていない」(豊岡憲治社長)としている。(写真は、苫小牧市永福町1丁目にある豊月本部)

 札幌圏をはじめ道内のスーパー各社はチラシを週4~5回折り込んでいるケースが多い。首都圏などでは週1~2回が大半で、北海道のチラシ回数は全国的に見ても多いと言われている。

 そんな中、豊月は今年2月からチラシの折り込み回数を週4回から週2回に半減した。その理由について「毎日低価格で提供している当社が認知されてきたこととチラシの効果が薄れているため」(豊岡社長)と言う。多くのスーパーは、チラシの削減が売り上げダウンに繋がるのではないかという思いから削減には踏み切れないでいる。

 しかし、そのことによって販促経費が膨れ上がり、合わせてポイント合戦による引当金も増加、利益を圧迫している現状がある。とりわけ売り上げが前年トントンの状況の中では、こうした販売管理費の高止まりは経営課題として浮上している。

 豊岡社長によると、2~6月は前年同期間比で100%の売り上げを確保しているという。「7月は97%程度で前年割れしたが、チラシを半減しても売り上げにはほとんど影響しないことがわかってきた」と話す。

 同社は、チラシ削減や人時(にんじ)生産性(労働投下に対する時間当たりの収益性)を高める工夫など販管費減少を積極的に進めている。前1月期は、売上高156億円、経常利益2億7000万円を計上したが、20年1月期は売上高は前年並みの156億円、経常利益は3億円を見込む。なお10年ほど前には約40億円あった金融機関借入金は現在1億円まで減少している。


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