食品スーパー各社が来年、札幌市内への出店を強化する。コープさっぽろやマックスバリュ北海道など札幌を基盤にするスーパーの出店意欲が高まっているほか、地方スーパーの札幌進出意欲も依然として衰えていない。各社が札幌市内での出店を目指して土地手当てを積極化しており、好環境な土地には複数の食品スーパーが名乗りを上げるなど、土地争奪戦が激化している。札幌市内では食品スーパーが飽和状態とされるが、高齢世代が地方から札幌に転居する傾向は今後も続くと見て、各社とも出店攻勢をかける。
 
 札幌市内では今年、食品スーパー各社が新店を4店舗出した。JR生鮮市場の新川店(北区新川)、豊月のフードDボスコ店(手稲区前田)、コープさっぽろの屯田店(北区屯田)、ダイイチの発寒中央駅前店(西区発寒)で、コープの屯田店は新琴似店(北区新琴似)を閉鎖した上での移転新築のため、純増数は3店舗。
 
 豊月は苫小牧を基盤にしながら千歳、恵庭、江別、札幌へ進出。ダイイチも十勝・帯広を基盤に旭川、札幌へと進出しており、豊月は札幌市内2店舗目、ダイイチは3店舗目。
 
 今年の食品スーパー純増数3のうち札幌市内を基盤にしているスーパーの新店はJR生鮮市場の新川店だけ。豊月では、さらに1~2店舗、ダイイチも5店舗体制を札幌市内で築くことにしており、地方スーパーの札幌出店は今後も継続しそう。これに刺激されて、札幌に基盤を置く食品スーパーも、来年から本格的に出店攻勢を仕掛けていく。
 
 コープさっぽろは、屯田店を高齢世代に対応した小型の実験店舗と位置づけて降り、大見英明理事長は「都心の買い物過疎や空洞化に対応するため屯田店のような小型店を出店していく」と語っているほか、マックスバリュ北海道の山尾啓一社長も、「今年は店舗のリフレッシュで業績向上のリズムを作ることができた。早い機会に既存店舗のスクラップ&ビルドを含めて札幌市内に新店を出したい」と強調している。
 
 札幌に基盤を置く食品スーパー各社の店舗開発部門では、出店の候補地探しに躍起になっており、目ぼしい土地には複数の食品スーパーが刺さりこみ、土地価格が上昇する局面も迎えている。土地取得費のアップやリースバックの場合は賃料のアップが避けられず、食品スーパー各社は商品価格の激安競争と固定費上昇の板ばさみの中で出店戦略を進めていかざるを得ない状況になっている。



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