日本チェーンストア協会北海道支部(支部長・出戸信成マックスバリュ北海道社長)は15日、札幌市中央区のホテル札幌ガーデンパレスで講演会と新年交礼会を開催した。(写真は、日本チェーンストア協会北海道支部で講演する林美枝子・日本医療大学教授)
講演会では、日本医療大学保健医療学部看護学科の林美枝子教授が、『チェーンストアにとってのSDGsとは何かー社員のワーク・ライフ・バランスとディーセント・ワークを中心にー』をテーマに90分間講演した。
林氏は、持続可能な社会を実現するため、2015年9月の国連サミットで合意された世界共通の目標である「SDGs」について解説。日本では、高齢化と多死社会の到来で地域共生社会の実現が課題となっており、「ワーク・ライフ・バランス」を実践して社員らが地域社会の支え手となることが不可欠と説明した。
「子ども食堂やフードバンク活動のほか、社員が地域に関わる活動をすることを奨励する企業に政府がインセンティブを与えるなど、職場と社会で活動することがより生産性が高いと定義されるようになってくる」と話した。
またディーセント・ワークについて、「自分らしさを失わず労働できることを示す概念で、セクハラやマタハラに続いて間もなくパワハラも法で裁かれるようになる。上司の在り方を含めて全く別の社会の在り方が求められるようになってくる。注意の仕方ひとつとっても当たり前が通用しなくなる」とSDGs社会における労働について言及した。
(写真は、挨拶する出戸信成支部長)
その後、新年交礼会に移り出戸支部長が挨拶。出戸支部長は、「2018年は節約志向が継続し個人消費の回復は力強さを欠いた。業種を超えた競争の激化や少子高齢化による人口減少でマーケットは縮小しており、人手不足もあって課題は多い。19年は消費増税への対応が最重要と認識している。知恵を絞って影響を乗り越え、デフレ脱却を確かなものにしたい」と述べた。
(写真は、来賓の挨拶をする牧野剛・北海道経済産業局長)
続いて、来賓を代表して北海道経済産業局の牧野剛局長が登壇。牧野氏は、「19年は、北海道経済回復の足取りをより確かなものにするとともに着実な成長軌道を取り戻す取り組みをしっかりしていきたい」と挨拶した。乾杯の音頭を取った日本チェーンストア協会の井上淳専務理事は、「今年はチャンスとリスクが隣り合わせになる年。改元や統一地方選、参院選、G20、ラグビーW杯、消費増税などが続き、米中、日ロの交渉もあって政治と経済が交錯してチャンスとリスクが隣り合わせになる。こういう時こそ基本を確認していくことが一層重要になる」と語った。