アークス横山清社長会見60分、「ユニバースとの経営統合」「後継問題」「道北ラルズとふじの合併」を語る

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 アークスは、10月に青森に拠点を置くユニバースと経営統合し新生アークスとして新たなスタートをすることになったが、アークスの横山清社長(76)が4日、札幌証券取引所で記者会見、ユニバースとの統合に至った経緯や今後のM&Aに対する考え方など60分間亘り丁寧に説明した。(写真は会見する横山清社長)

 
 アークスの経営手法は、持ち株会社アークスに各地域の食品スーパー等が100%子会社として地域の独自性を持ちながら展開していくもので、横山氏は「大雪山連邦経営と名づけたかったが、本州ではあまり馴染みがないので、誰でも知っている八ヶ岳連邦経営と呼ぶことにした。この方式は意外と常識的だが、意外と斬新な面もある」などと述べ、さらに北関東でアークス入り企業を募っていく考えを明らかにした。
 
 横山氏はこれまでの流通企業の拡大方式は、「中央の大手企業が地方の企業を傘下に収めるパターンだが、アークスは地方の企業同士が結合して大手に対抗し全国チェーンに対抗していくパターン。地方力を大事にして、地方の力を積み上げてきた」と強調した。
 
 アークスとユニバースは、地方の中小食品スーパーが共同で仕入れを行ったりプラベート(PB)商品を製造する組織であるCGCジャパンに加盟しており、以前から横山氏とユニバースの三浦紘一社長は面識があった。

「2年前にCGCシャパン35周年記念でニュージーランドに旅行に行って三浦社長と親しくなった。三浦社長は私と正反対で精密機械のように物事を積み上げていくタイプ。旅行で親しくなって一昨年から統合の可能性を話し合っていた。正式に進めることになったのは昨年の春。具体的に詰め出したのは昨年12月でそれから半年で統合発表に至った」と横山社長は語った。
 
 経営統合の株式交換比率はアークス1株に対してユニバースは1・205株。この比率に関して公平な第三者機関をフルに活用したと言い、「ユニバースは安く評価されたと思っているかも知れないが、お互い納得できる範囲。アバウトな比率ではない」(横山社長)
 
 統合作業が進む中で横山社長と三浦社長はひと月に一度は東京で2人だけで会い、フェイス・トー・フェイスで気になる点を徹底的に話し合ったという。
 
 震災の日も東京で2人は会っており、翌日も朝から引き続き2人で話し合っている。震災を契機に統合を早めた訳ではないことを強調した。
 
 ユニバースは青森に30店、岩手に16店、秋田に1店の計47店を運営し年商は2011年4月期で1025億8200万円、経常利益41億7000万円。「ユニバースが展開する地域は労働生産人口が減少しており、北海道よりも厳しい環境。青森市で唯一の東証1部企業だが、それを捨てでも一緒になりたいというユニバースの思いを高く評価している」と横山氏は述べた。
 
 アークスは今後も八ヶ岳連邦入りする食品スーパーを募っていくのだろうか。「効率優先の覇権主義ではない」と横山社長はアークスの経営方針を唱えるが、「道内でも十分でないところ(地域、企業)と手を繋いでいく。営業計画の中にM&Aは盛り込んでいないが、全国どこでもIT化によってあまり距離を感じない。九州でも四国でも対応できるが西日本は風俗習慣が全く違う。話はいくらでもあるが一緒になる相手は限られる。当面は北関東以北で考えたい」
 
 アークスは今回の統合によって売上高4061億円でライフコーポレーションに次ぐ2番手に、経常利益では142億円でトップに立つ。道内だけで5000億円は可能と横山社長はかねてから語っており、「1兆円は最終目標ではないが可能性は出てきた」と食品スーパーとして1兆円超えを狙っている心情も吐露していた。
 
 アークスの快進撃は横山社長の存在があってこそだが、後継問題についてどう答えたか。
「50年間スーパーに携わってきて様々な人の縁、企業の縁ができ私は接着剤として役割はあるようだ。あと3年間くらいは確固たるプラットホームを作るために頑張りたい。後継はしっかり育っている。チームでやれる人材陣はかなりいるし、カリスマ候補はいないにしても経営者候補はたくさんいる」と後継問題について楽観視していることを強調した。
 
 アークスの傘下企業は現在7社。ユニバースが入ることで8社になるが、「ふじと道北ラルズを合併して7社にする考え。八ヶ岳連邦経営というように、いつもひとつは空けておく」(横山社長)
 
 なお、アークスは2011年3~5月の第一四半期決算も明らかにしたが、既存店売上高で3月は103・9%、4月101%、5月は98・7%で第一四半期では101・2%だった。6月は99%になった。

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