本サイトの年頭インタビューは、恒例によりアークス(本社・札幌市中央区)の横山清社長(82)に登場してもらった。正月三が日のシリーズ最終回は、北海道・旭川で展開されている流通局地戦や同業である北雄ラッキー(本社・札幌市手稲区)株式を個人として5%超保有した狙い、そしてアークス筆頭株主として所有株への考えなどについて聞いた。IMG_9971(写真は、横山社長)

●旭川の流通激戦について。
「30年レンジで考えても、今まで北海道の中で一番の乱戦で価格戦争が激しいのは旭川です。一時は、全道一のスーパーを自負していた三島(本社・士別市)しかり、国策共栄のストア部門も我々の傘下に入るなどして消えていきました。結局、意味のない安売りを始めたら、それをやらざるを得なくなるのです。どんなに偉そうなことを言ってもみんなそうです」

「イオンだってここまで大きくなっているのに、PB(プライベートブランド)を1~2割安くするといいます。今まで売っていた分が2割も余計に儲かっていたから還元しますということとは違います。どんなPBでも平均1割下げたら利益はありませんよ。(イオンは)PBのウエートもかなり大きいのに何百品目も下げるということは、もうこれしか打つ手がないということではないでしょうか」

「旭川では、道北アークスも頑張っていますが、やはり持久戦にならざるを得ない。安売りで一時的にシェアを取って、それから『さぁ儲けるぞ』と言っても絶対に無理ですよ。苦しくても、今やっていることを貫き通す者が勝ちです。今と似たような状況はずっと続いていました。地域の人口減少に加えて、抱えている様々な問題が顕在化しているところに、いろんなプレーヤーも出てきました。その分だけ競合度は高くなっていますが、かつてと同じことで、敢えて言えば生き残りのための決勝戦が展開されているということです」

「道北アークスは3年前に総合物流センター(DaMC)を作りました。その前は既存店の売上高が3年間連続増収増益でした。それがあったからDaMCを建設することができました。
 これから借金をして、あの規模のセンターを作ろうとしても無理ですよ。店舗が省力化や無人化の方向になっていく場合にベースになるものはやはりセンターがあるかどうかです。道北アークスはトータルでDaMC建設に40億円くらいかけています。レンタル施設でリスクを避けながら思い切ったことをやり、今は生みの苦しみもありますが、赤字でもないし収益が下がっているだけで、その代わり中身を全部入れ替えています。我慢比べが続く中である程度ゆとりのある投資をしてきた者が生き残るのではないでしょうか」

●北雄ラッキーの株式を5%超保有した狙いは。
「ラッキーの株式取得は東京から話があって個人として取得しました。株式を手放した千葉(敬一)さんは知らない。5%以上なので提案権もあります。ずっと安定株主です」

●アークス筆頭株主として所有株について。
「アークスの筆頭株主(5・34%所有)として、所有株をどうするかは特に考えていない。アークスは自社株買いを楽々とできますから。税金がどうだとか、遺産相続がどうだとか、みなさん心配してくれますが、雨風を凌ぐところがあって飯が食べられれば良い。私はお腹が空いたらカップ麺でも十分ですから」
(終わり)



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