アサヒビール(本社・東京都墨田区)は28日、北海道統括本部の事業方針発表会を札幌市中央区の札幌プリンスホテル国際館パミールで開催した。事業方針の詳細は後日掲載するとして、今回は本体の事業戦略を説明した平野伸一社長が新商品試飲会の乾杯前に語った挨拶を紹介する。アサヒビールの戦略が凝縮されたコメントと言えそう。(写真は、アサヒビール平野伸一社長)
「私たちはビール屋とニッカウヰスキーの洋酒屋ですから、研究者や生産技術者の頭は“発酵”でいっぱいになっている。つまり“発酵・醸造ファースト”が染みついている。長年、私たちがトライしてもだめだったのが『ドライゼロ』のノンアルコールのビールテイスト清涼飲料だった」
「アルコールが0.00%、発酵させたらだめな飲料で、これはフレーバーが命。私たちにはフレーバーの研究が今までなかった。私は研究者や生産技術者の“発酵・醸造ファースト”の考え方をピリッと引き裂いた。そのことによって『ドライゼロ』がビールテイスト清涼飲料でナンバーワンを取ることに結び付いた。さらにそのフレーバーの成果が、昨年大躍進したRTD(レディ・トゥ・ドリンク=缶酎ハイや瓶入りカクテルなど)の『もぎたて』に繋がった」
「私はビール、発泡酒、新ジャンル、洋酒、焼酎、RTD、ワイン、ノンアルコールの日本酒を除く8カテゴリーで全部ナンバーワンを取れと言っている。研究優位性と技術優位性を持てということだ。私たちは焼酎ではずいぶん遠慮していてなかなか良い商品を出せなかった。しかし、ニッカの洋酒技術の知見を重ねて今年は6月に本格商品を出す。ワインは、ボルドー大学に2人留学させて帰国したので、その2人が中心になって国産ワインを『サントネージュ』ブランドで作る。RTDは『もぎたて』が業界3位だが、近いうちに1位を取るつもりだ」
と、ここまで吠えて乾杯して歓談に。その後、本サイト記者は昨年発売したものの大きくこけたビール新ブランド『アサヒ ザ・ドリーム』について平野社長に斬り込んだ。
「『ザ・ドリーム』を昨年3月から発売したが大きな課題を残した。何が悪かったのは分析しきれていないが、一番はビールということが消費者に伝わらなかった。糖質50%オフによって機能性の新ジャンル、発泡酒ではないかという意識が消費者に広がってしまった。だから『機能性の新ジャンルや発泡酒よりもなぜこんなに高いの』という声が多かった」
「昨年は、機能性=新ジャンル、発泡酒という消費者のイメージを覆せなかった。今年は缶のデザインも一新、100%麦芽のビールであることを全面的に打ち出す。今年2月に新発売したが、昨年よりリピート率は高い。じっくり育てれば必ずいける」
「昨年は200万箱の目標だったが、140~150万箱にとどまった。全然ダメだった。今年は200万箱を目指すが、必ずいける」