セブン&アイ・ホールディングス(本社・東京都千代田区)は、関西エリアの小売業界で圧倒的マーケットシェアを持つエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O、本社・大阪市北区)と資本業務提携する。セブン&アイHDは、苦戦している百貨店事業のうち関西の百貨店事業をH2Oに承継させるなどH2Oを「関西地区の戦略的ビジネスパートナー」とする。資本業提携が効果を上げれば、両社の経営統合に繋がる可能性もある。(写真は、セブン&アイ・ホールディングス本社)
資本業務提携によって、H2O株式の3%相当金額(約57億円)の株式を相互に持ち合ったうえで、セブン&アイHD傘下のそごう・西武が展開する「そごう神戸店」(神戸市中央区)、「西武高槻店」(大阪府高槻市)、「そごう西神店」(神戸市西区)をH2Oに譲渡。セブンーイレブン・ジャパンは、関西圏の店舗にH2Oグループが推進しているポイントプログラム「Sポイント」を導入する。「西武八尾店」(八尾市)、「西武大津店」(大津市)は再編に加えない。
H2Oは、関西・関東・九州エリアで阪急百貨店や阪神百貨店など百貨店事業を展開するほか、関西地区のイズミヤなどGMS事業、阪急オアシスなど食品スーパー事業を展開、小売業の「関西ドミナント化戦略」を進めている。2016年3月期の売上高は、9156億9000万円で営業利益は238億2500万円。
セブン&アイHDは、2017年度から始める中期3ヵ年計画で、エリア・業態ごとの「選択と集中」を進めていく新たなグループ経営の方向性を打ち出した。関西エリアの百貨店事業の売却もその一環で、オムニチャネル戦略も、これまでのEコマース事業中心からグループ各社共通のポイントプログラムを新たに稼働させ、お客のグループごとの利用状況が分かるようにしてポイントを付与する。グループの顧客戦略をオムニチャネル戦略だと再定義した。
セブンーイレブン・ジャパンの成長戦略として、既存店の質向上に大きく舵を切る。新規出店基準を高くして見直し、既存店舗の活性化基準も変更して閉店を加速する。
イトーヨーカ堂は、2020年度までに40店舗の閉鎖を実施するが、首都圏の鉄道駅から近い立地に店舗が多い点を考慮して建て替えやリニューアルを視野に収益率を上げていく。百貨店事業は地域一番店を持つことに意味があると判断、今後は地域一番店の百貨店に経営資源を集中させることにしている。
セブン&アイHDの百貨店事業再構築だけであればH2Oとの資本業務提携に踏み込む必要性はなかった。関東地盤のセブン&アイHDと関西地盤のH2Oは、エリア・業態を補足し合う新しい流通持ち株会社の可能性を秘めている。