東日本大震災によるサプライチェーン組み替えで道内食品スーパーの合従連衡に新局面

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 東日本大震災が、道内の食品スーパー業界にジワジワと影響を与え始めている。一部の商品は品薄状態で代替供給元を探す動きが本格化、また新たな食品卸にアプローチする食品スーパーも出てきた。6月以降には食品卸やスーパー各社の在庫も適正水準を下回ることも想定されており、食品スーパーの新たな合従連衡が始まるという見方もある。


 震災後、道内各スーパーの売り上げは前年同期を上回る水準で推移している。
 3月は各スーパーとも105~110%程度の伸びを示しているという。震災による心理的影響から品薄を心配する買いだめ需要が増えているほか、保存食なども伸びている。
「カップ麺やペットボトルの飲料水、それに納豆、鶏肉が不足気味」(中小スーパー幹部)という声がある。
 納豆は被災地周辺で生産されているものが多かったため、被災による生産中止や減産で道内納豆メーカーに代替需要が発生、マルカワ食品やヤマダイフーズプロセシングには注文が集中しているという。
 また、高品質の鶏肉として知られた岩手県大船渡のアマタケが被災し生産中止に追い込まれ、日本ハムグループ会社に代替注文が相次いでいる。
 目下のところは、各スーパーや食品卸、メーカーの在庫と代替生産によって店頭には一部商品の品薄はあっても総じて潤沢に品物は供給されている。
 しかし、「問題は5月のゴールディウイークを過ぎた6月ころ」(前出・幹部)
スーパーや卸の在庫が減少し、代替生産も追いつかなくなる状況が予想されるからだ。首都圏の計画停電の影響も読みきれない。
 菱食や国分、明治屋商事、雪印アクセスなどは帳合額の大きい食品スーパーへの供給を優先させることも考えられ、道内の中小スーパーはそのあおりを受けることが予測される。このため加藤産業など関西系の食品卸にアプローチ、供給量を確保する動きも出始めている。
 また、セイコーマートは自社ブランド商品をこうした中小食品スーパーに供給することも視野に入れている。
 東日本大震災は地震、津波による直接被害に加えて未だに終息の気配さえ見えない福島原発の放射能被害によって食品の生産―流通―販売というサプライチェーンを根底から崩した。
 新たなサプライチェーンの構築が迫られる中で、道内流通業界の組み替えも必至。消費者と直結している食品スーパーも、「トンネルを抜けると風景が一変している」可能性は大きい。

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