家具・インテリア製造小売のニトリホールディングス(札幌本社・札幌市北区、東京本部・東京都北区)の2016年2月期連結決算は、売上高が前期比9・8%増の4581億4000万円、営業利益は同10・2%増の730億3900万円で29期連続の増収増益だった。売上高営業利益率は、前期の15・8%から15・9%に0・1ポイトン上昇した。ニトリ&ラッキー 004(写真は、ニトリHD札幌本社)

 家具・インテリア業界は、原材料価格の高騰、物流コストの上昇、業態を超えた販売競争激化で厳しい経営環境が続いている。ニトリHDは、従来の郊外型大型店中心の出店戦略の幅を広げ、都市部出店を強化、商品構成や売場演出、搬入体制の対策を実施して新たな客層の獲得に傾注した。材料段階からお客に商品が届くまでを考えた「バーティカルマーチャンダイジング」を推進して原材料の見直し・共通化と産地の新規開拓、輸入関連コストの削減による継続的な原価低減を進めた。
 
 自社グループに製造工場を持つ強みを生かして自社開発商品の製造・販売を強化、柔らかく包まれる寝心地のマットレス『Nスリープ』シリーズや自社開発商品の売場『NITORI STUDIO』でのソファ『Nポケット』シリーズが家具の売上げを牽引した。
 また、季節に応じた機能性商品として、春・夏向けの接触冷感機能を持つ『Nクール』シリーズ、秋・冬向けの吸湿発熱機能を持つ『Nウォーム』シリーズの販売が前期を大きく上回った。
 
 帝人と共同開発の超軽量高密度生地を使用した『かるふわ羽毛掛布団』と、圧縮ロール梱包によってパッケージサイズを小さくし、お客が持ち帰りできるシングルマットレス『ポルタ2』は2015年度グッドデザイン賞を受賞。同社は3年連続の同賞受賞となり、複数受賞と家具部門での受賞は同社初となった。また、ニトリのスキレット鍋、通称『ニトスキ』はお値打ち価格と使い勝手の良さからSNSや口コミで人気が広がり大ヒット商品になった。
 
 物流面では、昨年6月からクラウドサービスを利用した配送計画の自動化を行い配送サービス業務の効率化を進めたほか、今年2月には商品のピッキング作業を省力化、作業時間の大幅短縮を実現した高密度保管型の自動倉庫を国内で初めて導入して作業効率の改善に努めた。
 
 出店は、プランタン銀座店(東京都中央区)をはじめ都市部出店を加速、関東地区12店舗、近畿地区7店舗、中部・東海地区及び九州・沖縄地区に各6店舗、中国・四国地区に4店舗、北陸・甲信越地区に3店舗、東北地区に3店舗の合計40店舗を出店した。北海道の出店はなかった。これにより国内店舗数は、前期より37店舗増加して383店舗になった。このうち小商圏フォーマットの『デコホーム』は今期10店舗出店しトータル39店舗。
 海外は、台湾に4店舗、中国に6店舗を出店したことにより今期末の海外店舗数は、台湾24店舗、中国8店舗、米国5店舗の37店舗で国内外総店舗数は420店舗になった。
 17年2月期は、売上高5000億円(9・1%増)、営業利益790億円(8・2%増)、純利益514億円(9・4%増)と30期連続増収増益を予想している。


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