札幌市西区二十四軒のホームセンター「トントン館」が、13日の昼12時で31年間の営業を終えた。地域に密着したホームセンターとして人気だったが、老朽化と競争激化で事業継続を断念した。跡地は、食品スーパーなどの建設などが浮上している。(写真上は、完全閉店したトントン館、写真下は閉店を惜しむ来店客たち=2016年3月13日午前撮影)
「トントン館」は、根室市に本拠を置くヒシサン(本町4丁目)が運営。同社は、戦前根室で発足した石炭販売会社がルーツで、現在は道東でガソリンスタンドやカー用品のオートバックスFC(フランチャイズ)店舗などを運営している。
地元根室の花咲町では「ヒシサンホーマ」(1971年開店)を展開しており、「トントン館」は85年3月、札幌の単独店舗として出店した。
当時はまだホームセンターのチェーン店化がそれほど進んでおらず、「トントン館」は地域密着のホームセンターとして根強い人気があった。しかし、時代を経るに連れてチェーン店のホームセンターが増え、お客を奪われて採算が悪化。設備老朽化で建て替え時期に来ていたこともあって完全閉店を選択した。
当時から地域に密着したホームセンターを志向してきたため、31年間勤めた従業員もいてお客との距離は近い。従業員との別れを惜しむお客は閉店が近づくに連れて増え、最終日の13日も午前中から駐車場はほぼ満杯状態が続いた。
約20年間務めた坂口智店長は「地域に愛されていたことを実感します。惜しまれながら閉店するのが丁度良いのかもしれませんね」と話す。
全品売り尽くしのため、商品だけでなく商品を陳列する什器や売台も格安に提供、外にある園芸品売場の備品類も売れたという。文字通り、お店まるごとの完全閉店セールになったようだ。
近いうちに「トントン館」は取り壊されて、跡地には食品スーパーなど新たな商業施設が建設されるようだ。