流通小売業は、酒類販売を取り込むことで成長してきた。かつて道内に数千はあった独立酒販店は今では数百に激減。代わって酒類販売の中心になったのが、コンビニや食品スーパーだった。それが今、ホームセンターやドラッグストアに移り始めている。酒類販売の中心になる小売業が流通のリード役になるのは、これまでの歴史が証明している。


酒類販売は免許制のため、かつては様々な規制があった。独立酒販店は八百屋や魚屋とともに地域の商店として当たり前の存在だった。
昭和40年代後半から、コンビニエンスストアが登場し、道内ではセイコーマートがこうした独立酒販店を取り込んで酒・たばこを販売するコンビニとして徐々に酒類販売の中心になっていった。
酒類販売のリード役は平成の初め頃まではコンビニだったが、食品スーパーの出店規制だった大規模小売店舗法が改正され、基本的に自由競争となったために食品スーパーが相次いで出店。食品スーパーが酒類販売店を取り込む形になって、やがて酒類販売の中心は食品スーパーに移ることになる。現在、道内2強とされる食品スーパーのアークスとコープさっぽろも酒類販売を手がけることで大きく伸びていった。
酒類販売が小売業の底上げ役になるのは、2年前のタスポ効果と同じ理屈。自販機でのタバコ販売に成人識別カードが必要となったため、それを嫌った愛煙者が手軽なコンビニでタバコを購入、「ついで買い」で飲料などちょっとした買い物をすることになってコンビニはタスポ効果よろしく、消費不況下でも前年をクリアする売上げを確保。これと同じことが酒類にも言え、食品スーパーで酒類を買ったうえで、様々な商品を購入することになるからだ。酒類販売は購買波及効果が高いというわけだ。
酒類販売にはメーカーからのリベート(販売奨励金)と小売店側からの払戻金も生じるなど、安売りには複雑に商慣行があるという。食品スーパーでの酒類販売にはメーカー側の旨みが少なくなってきているという声もあり、目下メーカー側が次の主戦場と考えているのが、ホームセンターやドラッグストア。この業態では食品販売の比率を高めており、酒類は成長のリード役になると見られている。
酒類販売の中心が、こうした業態に移ることになれば、流通小売業の主役はアークス、コープさっぽろからツルハ、ホーマックに移ることになる。
(写真はツルハの店舗)

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