ネット拡散「食品事故」 インターリスク総研がチェーンストア協会道支部講演会で「こう防ぐ」

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 日本チェーンストア協会北海道支部(支部長・出戸信成マックスバリュ北海道社長)は15日、札幌市中央区のホテル札幌ガーデンパレスで講演会と懇親会を開催した。講演会ではインターリスク総研の井上知己事業リスクマネジメント部CSR・法務グループマネジャー・上級コンサルタントが『食品事故事例を踏まえた危機管理のポイント』をテーマに講演、協会メンバーなど約90人が聴講した。IMG_5879(写真は、講演するインターリスク総研の井上知己氏)

 インターリスク総研は損保のMS&ADインシュアランスグループの子会社。損保のコンサルティング会社だが、顧客の過半が食品関係の企業で占められコンサル事例も豊富。異物混入や食中毒などの食品事故を防ぐための予防対策やマニュアル整備などの助言のほか万一の事故の際の対応、記者会見の訓練なども行っている。
 
 昨今は、SNSの普及、ネットの広がりからかつての食品事故とは違う次元の対応が必要になってきており、井上氏は「実際に起こった時を想定したアクションプランが欠かせなくなっている。いざ事故が発生してから対応していたのでは風評被害を含め収拾がつかなくなってしまう。食中毒で潰れた会社は数多い」と事前の準備が食品事故を最小限に食い止める鍵になることを強調した。
 
 また、「企業にとって普段の広報は宣伝広報だが、食品事故では経済部ではなく社会部の記者が大勢詰めかける。ネガティブな話をしなければならず時間が限られている中で情報開示の手順や窓口一元化、各媒体への公平なディスクローズなど危機管理広報が求められる」(井上氏)と述べた。
 
 他社の事例を参考にしてトレーニングを積んだり、部門の垣根を超えてリスク情報を共有、危機の芽を摘むなどリスクと向き合うために日ごろからの備えが大切と井上氏は締めくくった。
 
 続いて、約110人が参加して懇親会が行われ、出戸支部長が、「お客の嗜好は変化しており我々は十分にそれに対応できていない。景気回復を確実なものにするため当協会会員で知恵を出し合い、施策を講じて対応していきたい」と挨拶した。
 来賓の秋庭英人北海道経済産業局長は、「チェーンストア協会は成長するアジアの需要を取り込むことが今後の事業展開にとっては重要な視点。是非この機会に幅広い外国人旅行者の消費需要を取り込み、地域の消費喚起に繋げることを期待したい」と述べ、免税店制度の活用なども訴えた。
 
IMG_5883(写真は、挨拶する日本チェーンストア協会北海道支部長の出戸信成マックスバリュ北海道社長)
 
IMG_5897(写真は、来賓挨拶をする秋庭英人北海道経済産業局長) 
 
 乾杯の音頭は日本チェーンストア協会の井上淳専務理事。井上氏は「サプライチェーン全体が価格訴求、価値訴求の両面で知恵を絞り、お客に提供することを通してここまで来ている消費回復の期待感を確信にまで持っていくのが2015年度の課題」と述べた。その後、卸やメーカーの賛助会員も含めた懇談が続き約1時間で散会した。

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