横山清アークス社長インタビュー②「2015年の北海道流通小売界を占う」

流通

 昨日に引き続き、アークスの横山清社長に2015年の北海道流通小売界の行方を占ってもらうインタビュー第2弾をお届けする。食品スーパー歴54年目を迎える横山氏の経営者としての体感は、今年をどんな1年と認識しているのか。リアルエコノミーが業界環境を含めてストレートに聞いてみた。IMG_7657(写真は、札幌・狸小路商店街にあったラルズプラザ札幌店の閉店日に店内巡回するアークス横山清社長=2014年6月8日午後撮影)
 
 ――2014年の食品スーパー業界を振り返ってみて横山社長の体感はどうでしたか。
 
「現在の食品スーパーを取り巻く状況は赤信号。みんなで渡れば怖くないではなくて、みんなで渡ればみんなが苦しくなるという状況だと思う。かつてはこの状況でみんな自分だけは別だと思っていた。しかし2014年は、みんなが自分だけは別ではないと悟り始めた年だったのではないか。2015年は、こうした食品スーパーの中には、病気になってガン宣告されたり、死亡宣告されるような事態が起きてくると思う。おそらく今年の後半には『あそこは危ない』というような世論が暗黙知として形成されてくるのではないか」
 
 ――昨年4月の増税の影響はかなり大きかった。
 
「それこそ当初はみんなが想定内だと言っていた。私は、増税前からそんなことはないと言ってきた。過去の消費税導入のことを考えてみれば当然のこと。97年に3%から5%になった時には金融ビッグバンがあったからと言うけれど、拓銀や生保、損保、証券会社も倒産ラッシュだった。そんなことをみんな忘れている。だから、今回の増税影響もこんなものでは済まないと私は思っていた」
 
 ――消費増税の先送りも決まり、総選挙も終わりました。今年の経済の先行きをどう見ていますか。
 
「総選挙も終わったばかりだし、いきなり経済がおかしくなったりすることはないと思う。大納会で株価が大きく上がったら大発会で大きく下げることになるだろうから、気にかけていたが大納会であまり上がらなかったのでひと安心はしている。しかし、株価は何かのきっかけで下がり始めたらとんでもないことになるだろう。ともあれ、今年の末には何とかアベノミクスの効果が地方でも多少、咳止めのようには効くことになるだろう。だけど水面下での実態はもっと大変なことになると予想している」
 
 ――道内ではディスカウントストア(DS)の地方展開が加速しています。DSの影響で通常の食品スーパー(SM)も低価格競争に巻き込まれていますが、今年はさらに価格競争が激しくなると思いますが…。
 
「道内にもDSがどんどんと地方に出店している。コスト関係なしに自前やリースで出店しているが、高い建築費の中で急ぎに急いでイニシャルコストを上げて出店し、疲弊していく地方で徹底的なDSを仕掛けている。パート従業員を募集するために時給を2~3割増やして強引に引き抜いて対応したりしている。私は、この状況は行くところまで行くと思う。本来的に、コストを下げて粗利も下げ、単品大量販売で収支を合わせて行く業態がDSなのに、収支が合わない状況のなかでDSを推進している。それにみんな他のSMが追随していくから玉突き状態のように全体がダメージとして出てくる訳で、これは昨年あたりからはっきりと問題の顕在化ということで出てきた。私は、今年はそれがまさに顕在する状況になってくると思っている」(以下、次回に続く)

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