円安や原材料の逼迫でナショナルブランド(NB)商品を生産している食品メーカーの値上げが10月以降も相次いているが、食品スーパー(SM)など小売業界まで値上げが浸透するかは不透明な状況だ。特に北海道では、電気料金再値上げや最低賃金のアップが重なってSM各社の収益を圧迫しており、NBメーカーの値上げが浸透しない可能性が高い。(SMのPB商品では値下げも実施されている=写真)
NBメーカーの値上げが10月以降も相次いでいる。円安、原料高、包装資材、輸送費などが値上がりしたことに伴うものだが、乳製品、コーヒー、魚介缶詰類、即席めんなど広範囲。
しかし、ある道内の食品卸大手は「値上げがSM各社まで浸透するかはかなり難しい状況だ」と言う、その理由は、消費増税による影響が消費の変化をもたらし、SM各社の売上げを直撃しているからだ。既存店の来店客数が前年を割り込んでいるのは、買い物頻度が落ちていることが大きな原因とされている。
さらに、北海道では10月8日から最低賃金が昨年より14円引き上げられて748円(自給)が引き上げられたうえ11月以降から来年3月末までに契約更新時期がくるSMで電気料金が平均16・48%値上げされ、来年4月以降の更新なら同20・32%の値上がりとなりSM各社のコストアップが続く。
前出の食品卸大手は「消費増税によってSMの売上げが落ち込んでいるのは、全国的に見れば北海道と九州が顕著。北海道は冬場に灯油や電気を多用するためこれからますます消費者は価格に敏感になっていくだろう」と言う。「川上のNBメーカーだけが窮地を脱するような値上げの仕方では納得が得られないだろう。中間卸や小売りといった川中、川下までを含めた痛み分けの値上げスタイルでも出てこない限り末端までの浸透は難しいのではないか」(同)と語っている。