IMG_9198 イオン北海道(本社・札幌市)は、昨年の札幌桑園店リニューアルで食の新しいスタイルゾーン構築に成功した。来年度以降に計画している既存SC(ショッピングセンター)のリニューアルでは、この桑園モデルが横展開されることになりそうだ。また、衣料や住居余暇の部門でも新機軸を打ち出していく計画。新社長として今年5月に就任した星野三郎氏(59)に同社の針路を問うインタビューの後編をお届けする。(2回に分けて掲載しています。写真はインタビューに答える星野社長)

 

――食品売場ではディスカウント価格の売場も導入していますね。

 

星野 DS(ディスカウント)タイプは春光店(旭川市)と厚岸店(厚岸町)と根室店(根室市)の3店舗で導入している。根室店、厚岸店はサイズ的には小さいのでDSに転換した。方向性としてはそういう路線もあるが具体的に次の展開は決まっていない。札幌藻岩店(札幌市南区)、江別店(江別市)、帯広店(帯広市)、北見店(北見市)はGMSとして面積が大きくて2万㎡くらいあるため、そこでは新しいSCの形を模索する。

 

――新店を含めて今後はどの店舗を活性化しますか。

 

星野 来春にオープンさせる(仮称)旭川駅前店(旭川市)が久方ぶりの新店だ。新店としては旧ポスフールの建設物件を継承してオープンさせた08年4月のイオン名寄SC(名寄市)以来、7年ぶりの新店になる。既存店の活性化は来期以降に実施する。旭川西店(旭川市)、札幌藻岩店、江別店の3店舗で行うが、食については札幌桑園店と同じ考え方で食品売場だけにとどまらず楽しく過ごせるようなコンセブトで改装する。

 

――「イオンモール幕張新都心」に出店している「カンドゥー」のような体験型施設の導入についてはどう考えますか。

 

星野 本当はそういうことができる店が欲しい。しかし敷地が足りないので、やりたいが残念ながらできないのが実情だ。

 

――衣料、住居余暇分野の強化策はどうですか。

 

星野 イオンリテールが始めた『イオンスタイルストア』を衣料、住居余暇のフロアで行おうとしても当社の店舗規模では基本的に面積が足りない。このためエッセンスを取り入れて衣料品はアウトドア、ビジネス、カジュアルなどライフスタイルに合った売場展開ができるお店を目指す。どちらかと言うと今までは年代別だったが、これからはお客が求めているファッションスタイルに合ったものを固まりでコーナー化する方向に変える。イオンリテールもこの『イオンスタイル』を始めたばかりだが、幕張店や名古屋地域の店舗で今後の方向性は示しており、我々もモール型の旭川西店、苫小牧店ではタイミングを見て取り組んで行く。

 

――住居余暇はホームセンターや家具専門店との競争になっていると思いますが、どういう改善策を考えていますか。

 

星野 住居余暇売場は、衣料、食品と比べて一番適性面積を欠いている。どちらかというとHBCとセルフセレクションのダイニングとハウスキーピングなど最寄り品中心なので通常のメンテナンスを重要視している。ホームデポのような分野は未着手。ここは早急に修正を加えて行かなければならない。優先順位から言うと、HBC、ホームファッションを強化する

 

――Suc(スーパーセンター)に関しての戦略はどうですか。

 

星野 Sucの直営部分はダウンサイジング政策を取ってネットスーパーの拠点に活用したりテナントを入れたりしたが、石狩緑苑台店(石狩市)はグループのペットショップをテナント入店させペットシティとしてエリア最大規模にした。三笠店(三笠市)は半分がモールだが、モールの中身も特色あるものに変えて行かなければいけない。直営売場は縮小してカテゴリーキラーに準じたテナントを入れて行く方向で、そういう工夫によって利益を出していく。Sucは現在3店舗共に黒字化しているが、さらに北海道でSucを作っていくことにはならない。

 

――コンビニ型食品スーパー「まいばすけっと」の勝算と出店戦略を聞かせてください。

 

星野 まだ助走の段階で、当面は札幌市内100店舗を目指す。店を作るコストを勘案すると事業利益はまだ出ていないが、店舗利益はオープン2年目の7店舗トータルでは出ているので、基本的には2年数ヵ月で黒字化していく店舗づくりを進める。できるだけコストを掛けず居抜きで出店することにしているが、物件は今後、コンビニ跡などが出てくるだろう。1人の店長が2店舗を見る体制でドミナント化が進めば3店舗見るようにしたい。今まではどちらかと言うとかなり無理をした出店だったが、今後は良い立地の出店が増えて行くので2年目で売上げ2ケタ増、店舗利益は黒字という好循環になっていくだろう。

 

――100店舗のメドはいつころになりそうですか。

星野 食品出身者だけではなく衣料出身者もいて社内でも活気のある現場だ。出店は加速しているため16年度には100店を達成できる。

 

――淹れたてコーヒーや代金収納代行などサービス面は整備しますか。

 

星野 淹れたてコーヒーのサービスは実施していくことになるだろう。しかし店舗に負荷のかかることはやらない。収納代行のようなサービスを提供する計画はない。(おわり)

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