コープさっぽろ(本部・札幌市)の取引企業・団体など約800社で構成される生協会(会長・ナシオ平公夫社長)は23日、札幌市白石区の札幌コンベンションセンターで2014年度定期総会を開催した。533社から1073人が出席、13年度の決算報告や活動報告の議案が了承されたのち大見英明理事長が14年度の事業方針を発表、「低価格競争からの離脱、コモディティ化からの決別」をあらためて強調した。(写真は、生協会総会で2014年度事業方針を報告する大見英明理事長)
コープさっぽろは、10年秋に低価格競争をやめてコモディティ化からの決別を宣言した。これは、当時イオングループやアークスグループ、コープさっぽろグループの道内流通大手3グループが三つ巴の戦いを繰り広げ、価格訴求による同質化競争が激しさを増していたことが背景にある。
大見理事長は、道内産品の比率を高め、食を通じて北海道に貢献することをテーマに同質化競争から一線を画した差別化戦略に舵を切った。高齢化や自治体機能の縮小に応じ、配食事業や見守りといった食をベースにしたソーシャルビジネスに踏み込んだのもその一環だった。
今年度の基本テーマは、継続3年目となる『コープの好きな人をふやす』に設定、食にこだわる取り組みについて報告した。具体的には①消費者と生産者の絆を深める取り組みとして3年ぶりに農業賞を復活させ、以降3年ごとに開催する②近隣農家の農作物を店頭販売する『ご近所野菜』で今年度16億円を売り上げる③エゾシカ肉販売を現状6店舗から10店舗に広げ、11月にはジビエ料理としてPRする④12年度から生産開始したPB(プライベートブランド)商品を今年度26億円に高め、道内生産可能な商品はできるだけPB化する⑤食品表示法の変更に伴う栄養成分やカーボンフットプリントの表示を今年度からPB商品で先行貼付する――など。
また、食文化や食育に関わるオリジナル活動によってモノ消費からコト消費へと向かう消費者意識のトレンド構築、魚の料理教室などの開催によって家庭内で料理のできる人を増やし簡単便利の趨勢と逆行したマーケティングにもトライを続ける。
大見理事長は、就任8年目になる今年度を他の食品スーパーとの差別化基盤構築の年と位置づけている。