コープ・市場2 コープさっぽろ(本部・札幌市)は21日、札幌市中央卸売市場と連携して組合員向けの『魚の調理教室』をスタートさせると発表した。生魚の調理や料理の実践を通じて魚を3枚におろす方法などを習得してもらい、魚食文化を各家庭で継承していくことを目的にしている。食品スーパーでは食の簡便化を背景に家庭で魚を調理する人が少なくなっている。コープは魚の調理方法を知ってもらうことで店舗での生魚販売を増やしていく考え。(写真は、魚の調理教室開催を発表したコープさっぽろの大見英明理事長=左端、札幌市中央卸売市場水産協議会の髙橋清一郎会長=中央、同協議会魚食普及委員会の本田敬一委員長。北海道食糧新聞社提供)
 
 働く女性や高齢世帯の増加によって食の簡便化が進み、食品スーパー各社はこうしたニーズに対応、調理しなくても温めるだけですぐに食べられる食材の品揃えを進めている。
 しかし、中食化は各家庭で培われてきた調理方法の衰退に繋がり、食育の観点からも相応しくない面がある。コープさっぽろでは、クッキングスクールの開設や「食べるたいせつフェスティバル」などを開催して調理方法とともに食育への取り組みを続けてきた。
 
 今回、札幌市中央卸売市場の水産協議会、同会の魚食普及委員会と連携し、生魚のおろし方など調理方法を習得してもらう『魚の料理教室』を開催することにした。
 対象はコープさっぽろの組合員で1回当たり16人の参加を予定。プログラムは、市場の見学、市場の調理室を利用した体験学習、調理実習、試食で構成され4月22日の「にしの店」(札幌市西区)の組合員から始め、今年は札幌地区40店舗で1店舗当たり年2回実施する。来年以降も継続して進め、全道108店舗を対象に当面4年間実施、延べ1万3700人の参加を見込んでいる。参加費は1500円。講師は、同市場魚食普及委員会のメンバーや市場職員が対応する。
 
 コープさっぽろの大見英明理事長は、「昨年、ユネスコが和食を無形文化遺産に登録したが和食の中心素材である魚のおろし方を知っている人は著しく減っている。魚の調理法については学校教育でも行っていないので、市場と一緒になって教育の場を設け魚料理のできる人を確実に増やしていきたい」と語っている。コープさっぽろが同市場と連携するのは初めて。
 
 食品スーパーの多くが手軽に食べられる“ファスト・フィッシュ商品”を品揃えしていく中で、コープさっぽろは魚の調理方法を伝授することによって、店頭での生魚販売の拡大にも繋げたい意向だ。


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