酪農家向け「個別型バイオガスプラント」で協業、サンエス電気通信・上田組・仏ナスケオ社が戦略的パートナーシップ契約

農業・水産業

 酪農業で発生するふん尿を原料にした個別型バイオガスプラントを、欧州中心に展開しているフランスのナスケオエンバイロンメントは、北海道での事業展開を加速する。釧路市のサンエス電気通信、標津郡標津町の上田組と合弁会社、ナスケオ環境を設立するとともに、3社間で戦略的パートナーシップ契約を締結した。施工・設置からメンテナンスまでを一貫して行う体制を整え、5年間で個別型バイオガスプラントの納入実績を100件にする計画。(写真は、仏ナスケオ社とサンエス電気通信、上田組の戦略的パートナーシップ契約調印式。左から、仏ナスケオエンバイロンメント社のクリステール・ルージュビエフ代表取締役、サンエス電気通信の宮田昌利社長、上田組の上田修平代表取締役)

 ナスケオエンバイロンメントは、2019年に全額出資で日本法人のナスケオ環境を札幌市内に設立、北海道で個別型バイオガスプラントの導入を進めてきた。これまでに、標津町や別海町、名寄市で3件を納入したが、さらに実績を積み重ねるには、施工・設置からメンテナンスまでの一貫体制が必要と判断、サンエス電気通信と上田組が合流することになった。

 ナスケオ環境を資本金3000万円に増資し、サンエス電気通信と上田組が各25・5%(計51%)、ナスケオエンバイロンメントが49%を出資、社長にはサンエス電気通信の宮田昌利社長が就任、本社も同社札幌支店内に移した。その上で、3社間で戦略的パートナーシップ契約を締結、個別型パイオガスプラントの提案、導入を積極的に行う体制を整えた。

 ナスケオ環境が展開する個別型バイオガスプラントは、日本で主流になっている集合型バイオガスプラント(酪農家20~30軒から発生するふん尿を集中処理して売電などを行う)に対して、酪農家1軒(100頭から)でも対応できるオンサイト型の小型プラント。ベルギーのバイオレクトリックが10数年前に開発したもので、ナスオケ環境は、日本向け独占販売権を取得して展開してきた。

 バイオレクトリックの小型バイオガスプラントは、欧州を中心に400件以上の納入実績があり、個別酪農家ごとにオーダーメイドの提案による導入と施工・設置、メンテナンスにノウハウがある。機器類はモジュール化されており、設置工期やメンテナンス時間の短縮にも繋がる。

 道内では、これまでにフリーストール(放し飼い方式)型で300頭を搾乳している標津町、別海町の酪農家2軒と下水処理用に名寄市の下水処理場への納入実績がある。メタン発酵で得られるメタンガスで発生させた電力は、低圧(50kW未満)のため、再エネFIT売電や自家消費ができる。また、固液分離工程で発生する消化液は、有機肥料として牧草地に活用でき、固液分離後の繊維質は、牛舎の敷料として還元利用できる。導入期間は半年で、発電開始までの期間は1年。

 導入費用は、300頭クラスで約2億3千万円。発生する電力を自家消費する場合は、3分の2を国の補助金で賄うことができる。投資回収は、7年程度と試算されている。2026年3月6日、道庁赤れんが庁舎(札幌市中央区)の赤れんがホールで、3社間の戦略的パートナーシップ連携調印式が行われた。

 サンエス電気通信の宮田社長は、「今年度は2件の受注を予定し、来年度以降は倍々で実績を積めるように、テクニカルサポ―トと販売体制を整えていく。道北地域では、一緒に組める電気工事や土木工事の会社に呼びかけており、300頭クラスを飼育している道内酪農家約1000軒に導入を呼びかけたい」と話した。ナスケオエンバイロンメントのクリステール・ルージュビエフ代表取締役は、「サンエス電気通信、上田組と共同で北海道、日本でより大きな展開が加速できると確信している」と語っていた。

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