北海道の生産者を、消費者の視点から応援・表彰する「コープさっぽろ農業賞」(実行委員会主催)の第11回表彰式が11月26日、札幌市中央区の札幌パークホテル3階パークホールで開催された。同賞は漁業の部を設けるなど、一次産業を多角的に応援する賞として発展しており、生産者の意欲向上や消費者の一次産業に対する理解を深める役割を果たしてきた。今回の北海道知事大賞には、「あすなろファーミング」(上川郡清水町)が選ばれた。(写真は、第11回コープさっぽろ農業賞「北海道知事大賞」を受賞したあすなろファーミング・村上悦啓社長=右。左は北海道農政部の横田喜美子・食の安全推進監)
(写真は、第11回コープさっぽろ農業賞受賞者や実行委員、審査委員、来賓ら)

「コープさっぽろ農業賞」は、北海道、札幌市、ホクレン、北海道ぎょれん、北海道生協連、各団体の協力を得て2004年にスタート。2006年の第3回からは漁業の部が加わり、2011年の第8回まで毎年開催してきた。一定の役割は果たしたとして、その後は3年に1回の開催となり、2014年、2017年と続けてきが、2020年はコロナ禍により開催できず、1年延期となって開催された。

 昨年から続くコロナ禍での開催となったため、審査委員(委員長・麻田信二北海道生協連会長理事、14人で構成)による審査は、あらかじめ事務局が現地を訪問して撮影した約1時間の動画視聴とオンラインによるプレゼンテーションを組み合わせて行われた。今回は、新たに地区組合員の推薦による「ご近所やさい生産者賞」を新設、「新規就農者賞」も単独の賞とした。

 農業賞部門の北海道知事大賞を受賞したのは、有限会社あすなろファーミング。無農薬、無化学肥料による牧草管理、化石サンゴを活用した土壌管理でJAS有機飼料認証を取得しており、混合飼料はすべてNon-GMO(非遺伝子組み換え)。JGAPやアニマルウェルフェア認証も取得するなど、質の良い生乳を生かした牛乳やバター等の製造に力を入れ、生産から加工を通じたこだわりが評価された。同社の村上悦啓社長は、「父がやってきたことを兄とともに引き継いで、12月で創業30年になるが、今の時代に合った新しい取り組みも行っていきたい」と受賞の喜びを語った。

 審査委員長の麻田氏は、「大賞候補が審査委員の中で分かれるなど、審査が悩むほどレベルが高かった。受賞者の取り組みは、環境への配慮や食の安全、健康、福祉との連携、地域活性化などSDGsを先導するもの。日本の農水産業をリードする食糧基地北海道の担い手として、消費者に食の安全と暮らしに安心を届ける取り組みを継続していただければと思う」と述べた。

 受賞者は次の通り。
【農業賞】▷北海道知事大賞「あすなろファーミング」(上川郡清水町)▷特別賞「Agricola(アグリコラ)」(石狩郡当別町)▷特別賞「菅野牧園」(夕張郡栗山町)▷特別賞「佐々木ファーム」(虻田郡洞爺湖町)▷特別賞「前田農産食品」(中川郡本別町)▷審査委員長特別賞「カリフリ牧場」(勇払郡占冠村)▷奨励賞「アド・ワン・ファーム」(札幌市)▷奨励賞「Ambitious Farm(アンビシャスファーム)」(江別市)▷奨励賞「高山農園」(樺戸郡新十津川町)▷奨励賞「道南いたさか農園」(檜山郡厚沢部町)▷奨励賞「北海道・藤井ファーム・ラボ」(札幌市)

【漁業賞】▷コープさっぽろ大賞「白糠漁業協同組合たこ縄部会」(白糠郡白糠町)▷奨励賞「カキキン」(厚岸郡厚岸町)▷奨励賞「新星マリン漁業協同組合なまこ部会」(留萌市)

【交流賞】▷札幌市長賞「当麻有機農業を考える会」(上川郡当麻町)▷特別賞「農猿」(空知郡南幌町)▷特別賞「NPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクト」(余市郡余市町)▷学校特別賞「北海道中標津農業高等学校」(標津郡中標津町)▷奨励賞「北海道のごはん展」(札幌市)

【ビジネスモデル賞】▷最優秀賞「仁成ファーム」(釧路市)▷優秀賞「竹内農園」(北広島市)▷優秀賞「ハピネスデイリー」(中川郡池田町)
【新規就農者賞】▷優秀新規就農者賞「佐賀井農園」(夕張郡長沼町)▷優秀賞「ぼちぼち農場」(網走郡美幌町)
【ご近所やさい生産者賞】▷最優秀賞「中田農園」(札幌市西地区)▷優秀賞「高坂農園」(函館地区)



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