6月後半に3年に一度の役員改選を迎えるJAグループ北海道の会長、副会長人事が25日に内定した。JA北海道中央会会長は飛田稔章氏(69、幕別町農協会長)が続投して4期目に入るほか、ホクレン新会長には中央会副会長の内田和幸氏(ながぬま農協会長)が就任する。6月20日の中央会総会、ホクレン総会でそれぞれ正式決定する。(写真は、ホクレン新会長に就く内田和幸氏)
JAグループ北海道の常勤役員改選は、役員推薦会議(松尾道義委員長=道央農協組合長)が各ブロックから推薦された候補者を選考して決めた。JA道中央会の会長続投が内定した飛田氏は、2008年6月に宮田勇会長(当時新しのつ農協組合長)の後任として副会長から会長に選任され、現在3期目。TPP(環太平洋経済連携協定)反対運動では道内各界の取りまとめ役として活動、実績を積み重ねてきた。TPPは、米国の参加拒絶で中断するかに思えたが、政府は11ヵ国のTPP発効に動き先行きは不透明。推薦会議は、実績のある飛田氏を続投させて農業司令塔である中央会の舵取りを託すことにした。
ホクレン会長に内定した内田氏は、14年6月に中央会副会長に就任、1期を終えてホクレン会長に大抜擢された。会長を3期務めた佐藤俊彰氏(68)は、ホクレン副会長を2期務めており、常勤役員の定年内規である5期15年を全うして退任する。
内田氏は、かつて「我々の時代は生まれた時から農協組織があって親の姿を見て当たり前のように農協の組合員になった。しかし、今の若い人たちは農協以外からいろんな情報があり選択肢も多い。農協とはどういう組織なのかということをもっとアピールしなければならない時代だ」と語っていたことがある。農業の世代交代が進む中、内田氏の言う外向き志向は北海道農業を引っ張るJAグループ北海道にとって欠かせない視点になる。
ちなみに内田氏の信条は、組合員の問いや疑問には必ず答えを出すこと。「だめならだめでも答えを出さなければいけない」――ながぬま農協組合長と会長を通算13年務めている内田氏のトップとしての基本的な姿勢のようだ。
JAグループ北海道の会長、副会長は、十勝やオホーツク、空知、石狩、日胆、道南など各ブロックから推薦された候補者を選考して決める。いきなり会長になるケースは少なく、副会長を経験してから会長に昇格するのが一般的。その際、各ブロックの候補者が分散するように配慮しなければならず、1ブロックが2つの会長ポストを取ることはできない。ホクレン副会長を務めていた伊藤政光氏(新得町農協会長)が会長に選ばれなかった一因には、同じ十勝ブロックの飛田氏が中央会会長を続投することになったことも理由だった。
なお、JA北海道信連会長は副会長の佐藤彰氏(65、北石狩農協会長)、JA北海道厚生連会長も副会長の西一司氏(69、オホーツクはまなす農協会長)が昇格する。