札幌厚生病院が2011年度に増築工事を開始する。当初は、11年7月完成見込みだったが、財務上の問題や内部不祥事が続いたため先送りしていた。同病院は、厚生労働省の「地域がん診療連携病院」に指定されており、増築によってがん治療の充実を進める。


同病院の増築工事は、当初は09年度中に着工して、2年後の11年7月に完成させる予定だった。増築工事が遅れた原因の一つが農業協同組合に適用される財務上の規定のためだ。規定によると、農協が保有する建物や土地などの固定資産は自己資本で賄わなければならない。つまり固定比率は100%を超えていなければならないということ。
仮に100%に達していなくても、100%に到達できるメドがあれば農水省もゴーサインを出す。同病院を運営するのは道厚生連だが、固定比率が100%に満たなかったため年次計画で自己資本を充実させるなど100%に近づける経営努力を進めていた。
しかし、08年度決算ではこの年次計画通りに固定比率が高まらず農水省も事実上の待ったを掛けていた。
今年6月に纏めた09年度決算では、内部留保が増えて固定比率も年次計画通りに増えたため農水省も増築計画を容認した。ちなみに09年度決算の固定比率は81・3。当初は2016年までに固定比率100%到達を計画していたが、2013年に前倒しで100%になりそうだという。
固定比率の問題のほかにも、内部で相次いだ不祥事や交際費を計画以上に使用したことによる不適切な経理処理も着工先送りの要因だった。
来年度に着工される新病棟は地下1階、地上6階で延床面積1万2000㎡。投資額は70億円。ホスピス病棟として25床、個室も80床から155床に拡大する。また、健診センターも移設して人間ドック受診者数を一日当たり70人から100人に対応できるようにする。
(写真は札幌厚生病院)

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