閉塞感切り裂き走る「ザ・ロイヤルエクスプレス」の力強さ

交通・運輸

 夏が終わり、秋に向かう北海道の大地を体感できる3泊4日の豪華列車の旅が今年も始まっている。観光振興と地域活性化を目的にJR北海道(本社・札幌市中央区)と東急(同・東京都渋谷区)が、昨年夏から運行を開始した「ザ・ロイヤルエクスプレス~HOKKAIDO CRUISE TRAIN」。今年2回目の運行となる8月27日札幌発の便が、30日札幌に戻ってきた。
(写真は、夕張川橋梁を走る「ザ・ロイヤルエクスプレス~HOKKAIDO CRUISE TRAIN」と橋梁を過ぎてカーブに差し掛かる同列車)

「ザ・ロイヤルエクスプレス」は、JR北海道と東急が、北海道胆振東部地震の影響を受けた北海道を応援するため、JR東日本、JR貨物との4社連携で2019年2月に立ち上げたプロジェクトによって運行が決まった。20年は5回の運行を予定していたが、コロナ禍で3回に減少。21年は1回の人数を昨年の5分の1の30人とし、7回の運行を行う。既に2回まで終了しているが、今年は9月24日(金)に出発する最終の7回目に、小樽に前泊する4泊5日の限定プラン(3組分)も用意されており、昨年以上に北海道の魅力を存分に楽しめる内容となっている。
 コースは十勝平野や釧路湿原、知床半島、大雪山系、十勝山系などを巡り、宿泊は十勝川温泉、知床ウトロ、富良野。最終日は富良野や美瑛の丘、青い池を経て旭川から札幌に戻る。旅行代金は1人73万円(税込み)。

 旅情を搔き立てるように、列車の色合いも北海道の大地に映えるようになっている。ディーゼル機関車はJR北海道所有のDE15の重連でオレンジ、列車に電力を供給する電源車(JR東日本から東急に譲渡)は白、5両の客車は東急が伊豆エリアで運行している「ザ・ロイヤルエクスプレス」(伊豆急2100系)でロイヤルブルー。三色が北海道に溢れる緑と一体になるように工夫されている。ちなみにこの編成の装飾は東急の「ザ・ロイヤルエクスプレス」を手掛けた水戸岡鋭治氏によるもの。

 2回目の運行最終日、夕張川橋梁で札幌に戻る列車を待った。雲が途切れて太陽が降り注ぐ中を列車がやってきた。鉄橋を渡る重量感のある音を残しながら、目の前を通り過ぎて行く。北海道の大地を走り抜けてきた雄姿には、コロナの閉塞感を打ち破る力強さがあった。

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