小樽市の天神地区は、古びた民家と工場が点在する、どこにでもありそうな郊外の風景が広がっている。唯一違うのは、後志自動車道の天神橋が高い位置で街を横切っていること。街並みが醸し出す時代感と高架道が静と動のコントラストを強調している。この街にさらに動の要素が加わる。北海道新幹線新小樽駅(仮称)の開設。「小樽の新たな玄関口」となるこの街に胎動が始まっている。(写真は、北海道新幹線「新小樽駅」が設置される小樽市天神地区。後方の橋は、後志自動車道の天神橋)

 新小樽駅が建設されるのは、小樽市天神2丁目。JR小樽駅から山側(南側)に約4・5㎞、道道天神南小樽停車場線を跨って設置される。勝納(かつない)川の上流に位置するこの街は、奥沢水源地に近く、後志自動車道の高架橋を除けば昭和の時代で時間が止まったような印象。近くにある障碍者支援施設、北海道宏栄社のクリーニング工場から出る白い煙も、変わらぬ街並みを象徴するように風にたなびいている。

 新小樽駅の建設を前に、この街では北海道新幹線の後志トンネル(天神)の掘削工事が始まっている。このトンネルの延長は約4・4㎞で5月現在、130mの掘削が終わった。時折り、トラックが行き交いトンネル工事が少しずつ進んでいることが分かる。

 このトンネル工事が、佳境に向かう頃、駅舎の建設が始まる。今年度は駅舎デザインの要望を取りまとめる段階で、2年後に絞り込み、2024年度以降に建設が始まる。小樽の吹きガラスや石造倉庫、奥沢水源地に残る「水すだれ」と呼ばれる階段式溢流路(いりゅうろ)をモチーフに、デザインが絞り込まれる予定。

 新小樽駅の開業まで9年、この街は生まれ変わることが約束されている。後志自動車道天神橋と北海道新幹線の新小樽駅は、小樽の地形が織りなす空中絵をこの街に届ける。


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